30話 59丁目 ページ48
59丁目のマンションに引っ越してきたその日から英二に仕事を任せパソコンをガタガタと動かす
静かにどうするか悩みながらパソコンのマウスをカチカチとクリックし、2枚のチケットを手配した
目頭を抑えて練った作戦をうまく実行できるように振り返る
『はーい、もしもし。うん、うん…まあそんなもんでしょ…うまくことを運んでくれないと、こき使うからよろしく』
かかってきた電話を切る。奴が裏切ることなんて絶対ないだろう。それ以上の極上な契約内容なのだ。まあ、裏切ったら始末するだけだし
ガタリと立ち上がり『ちょっと出てくる』とテレビゲームをしている男子3人組に声をかけると「どこいくの？」と英二が追いかけてくる
『すぐ帰ってくるから』
パタンとドアを閉めてエレベーターに乗り込み、そのまま向かったのはJFK空港
スマホを取り出してかけたのはマックスの電話番号
《どうした？》
『伊部さんは一緒にいる？』
《ん？あぁ、今代わる》
《もしもし？》
伊部さんの声が聞こえてきて『久しぶり、伊部さん』と声を出すと《え、海斗ちゃん!?》と驚いている
『突然で悪いけど、10日後の羽田行きを2人分予約した』
《え？》
『10日間、英二は外には出さない。伊部さんも外に出ないで欲しい』
《海斗ちゃん…キミは今どこに》
『私も英二も大丈夫。今は会わせることができない』
《大人しく、英ちゃんは帰るかい？》
『さあ、どうだろうね。残りたがるだろうけど…その時は、アッシュも連れて日本に行かせるさ』
《…残るのかい？》
『あぁ…気になることもあるからね』
このアメリカに、鷹岡が来ている
だとすると、うまいこと動かして捕らえなければならない。めんどくさいけど、やるしかないのだ
『…伊部さん』
《…？》
『全部終わったら、アッシュやショーターを日本に連れてってあげてよ』
《…え》
『じゃあね』
《海斗ちゃん！》
『？』
《あの、ごめんね》
伊部さんの謝罪に何も答えることなく、私は静かに電話を切った
エールフランスのファーストクラス・ラウンジ
アナウスが流れる中、考え事をしている老人を見つめながらサングラス越しで考える
ゆっくりとこちらに目を向けたゴルツィネは驚き、目を見開いている
『ハァイ…』
続く (更新停止中)
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
