同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ38)

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ショーターと英二、アッシュの子分数人を乗せた車が走り出すのを見送っていると「Pi」とパタパタと羽がぱたつく音が聞こえ指を出せばそこにちょこんと乗ったのはチコ

『チコ、どうだ？』

「Pi！」

『わかった。2時間後に着くと伝えてくれる？』

「Pi〜！」

パタパタと飛び立ったチコを見送り、壊れていない高級車に乗り込むと助手席に乗り込んできたのはアッシュだった

「この車、ディノが俺に贈ったんだ」

『悪趣味な車だな。ミニクーパーがお前には似合うんじゃない？』

「笑えるな」

赤い超高級スポーツカーのエンジンを吹かせて発進させ、屋敷を後にする
遠くの方でボォン！というド派手な爆発が聞こえて「お前まさか」とアッシュがこちらを見ながら後ろを振り返ったりしている

マンハッタンへ続く大きな橋を渡り、しばらく車を飛ばしてアッシュのアジトだという場所まで来ると車を停めてエンジンを切った

『疲れた〜』

「お疲れ」

シートベルトを外して外に出ると、「Pi」とスポーツカーの屋根の上にチコが止まっていた
そんなチコに手招きをして手のひらに乗せ、自分の肩へと誘導すると、ちょこんと飛び乗ってふーと息を吐いている

「その鳥…」

『説明はあとだ』

アッシュのアジトに足速に向かい、中に入っていくとアッシュの子分たちがアッシュの姿を見て嬉しそうに駆け出していく

『子分に愛されてるな』

「所詮猿山のボスさ」

鼻で笑っているアッシュに皮肉に笑っていると「だから、キミはショーターじゃないか！」という英二の怒号が飛んできた

「英二？」

『あのバカ…』

「？」

足速に向かうと英二が顔を赤くして「キミがショーターじゃないなんておかしいじゃないか！」とショーターに詰め寄っていた
詰め寄られているショーターはたじろぎながら「だーから…」とゲンナリしている

「あ、ボス！」

「姉さん！」

アッシュの子分と英二がこっちを見て声を上げる
ショーターも「やっときた、助けてくれよ」と肩を落としてため息混じりにそう言うもんだから、『悪い悪い、遅くなった』と言えば「思ってねえくせに」と言われる

「英二、さっきから何を言ってるんだ？」

「アッシュ！キミからも言ってくれよ！ショーターが、自分はショーターじゃないって言うんだ！」

「…はあ？」