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「俺はこんなとこでグズグズしてらんねえんだ！」
「おい、アッシュ！」
「あんたの弟が組んでる連中が、仲間を掻っ攫っていきやがったんだからな！」
英二と海斗。どちらともに俺の大切な友達だ
そいつらを連れていかれたんだ。グズグズしていられるわけがない
一刻も早く追いかけなければならないのだ
「……わかった、ついて来なさい」
案内されたのは書斎だった
「あんた、今までどこに？」
「ここ数ヶ月間、妙な男たちにつきまとわれてな
それでずっと貸別荘にいたんだが、誰かが私のパソコンに入り込んだのがわかった」
海斗のハッキングのことだろう
あいつは足がつかないようにしていたと言っていたが、どういうことだ？
「しかし、残念だがあれはダミーだ。弟と組んでいるなら、とっくにわかっていることばかりだ」
本棚に手を伸ばしたドースンは、天板にある隠しスイッチを押した。棚がスライドし始め、隠し部屋が現れた
「こんなところに、部屋が…」
「！タバコの匂い…」
「え？そうか？」
「海斗が吸ってたのだ」
「…え、じゃああいつまさか！」
「………ここに入ったんだ」
かすかに匂ったタバコの匂いに釣られて中に入ると、一つの棚に気づいた
他の棚には分厚いファイルがあるのに、この棚にだけはごっそりと抜け落ちている
「なあ、ここにはなにが？」
「バナナフィッシュについてのファイルが…」
「それをあいつは持ち出したってわけか」
でも、いつどこに？
その時、海斗が一度だけ屋敷を出た日があったのを思い出した
あの時、英二が言うにはリュックを背負っていたが帰って来た時にはリュックはなかったと
もしかしてそのリュックの中にファイルを入れて誰かに預けたのか？でもなぜ？なぜそんなことをする必要がある？
俺はのちに知ることになる。海斗の考えを
ドースンから聞かされたことは恐ろしいものだった
ドースンが作り出したバナナフィッシュは、LSDや他のある種の薬 物は幻覚作用を引き起こす。それについては海斗も言っていた
使った人間の精神状態がよくなければ、バッド・トリップに陥る。バナナフィッシュは全ての人間にこのバッド・トリップをもたらすということ
どんな人間だろうとも、この悪夢から逃れることはできないということ
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
