同志の思いを胸に【BANANA FISH】 (ページ28)

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「俊一！大丈夫か？どうしたんだ！英二と海斗、ショーターは!?」

マックスが伊部を抱き起こすが、うまく声を出すことができていない
俺はもどかしくなって玄関へ駆け出していくと、「待て！」とマックスが呼び止める

「どこ行く気だ!?」

「決まってる!! チャイナタウンだ！奴の戻るとこはそこしかねぇ！」

その時

「ち、がう…！」

伊部の言葉に足が止まった

ーその頃ー

ショーターが李華龍と月龍、オーサーと対峙したのち2人と引き離すというのなら2人の命を奪い自分も死ぬと脅しをかけていた

華龍はそんなショーターの気持ちを汲み、ニューヨークまで同行するようにオーサーに頼み、ゴルツィネにも連絡をした

航行中のプライベートジェット機内で、シートに座ったショーターはソファに寝かせた英二を眺めながら「本当にうまくいくのか？」とぼやいた

視線の先にいるのは

月龍に薬を盛られたはずの海斗だった

『あぁ、ことがここまでスムーズにいってるからな。だけど、油断はできない。あいつがうまいことしてくれないとな』

「………無事だといいけどな」

『あいつの運転は腕があるんだ。信じればいい』

「……………だと、いいが」

アッシュside

伊部が英二と海斗たちがニューヨークにいること、返してほしければそこにこいと言うことを教えてくれたのと同時に、気配がして振り向き出てこいと叫べば、この家のアレクシス・ドースンが現れた

「この解毒剤は、大抵の筋肉弛緩剤に効果がある」

ソファに寝かされた伊部が静脈注射を打ってもらっている中、俺はふと溢れているお茶のカップに目を向けた

倒れているのはカップ二つ。ひとつは伊部、もうひとつは…誰が飲んでたんだ？

だがその思考を振り払い、「バナナフィッシュ」を呟けばドースンはこちらに振り返ってくる

「あれは、あんたの作ったものだな？」

「お前たちは一体…弟の仲間か？」

「俺の兄貴は、イラクであの薬を飲まされて…廃人同様になったんだ!!」

「なに…？」

「そいつがあのヤクにやられた時、俺はその場にいた
奴とは親友だったんだ。俺たちは話を聞く権利がある」

床に座り込んだドースンは何も話さず、苛立った俺がドースンの胸ぐらを両手で掴み上げ強引に立ち上がらせた