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テラスを出てリビングに戻り、『伊部さん、あとは任せるよ』と言ってキッチンに向かう
ざーーーっと水を流し、コップに水を注ぎ込んでそれを飲み込む
『ふー…』
飲み終えたグラスと水を止めてスマホを取り出し、画面に映し出された「OK」の文字を眺めて大きなため息を吐いた
「さすがの海斗も、英二に心無いことを言うのはこたえたか？」
『マックス、アッシュ』
キッチンの出入り口に2人が立っており、中に入ってきて出ていたバーボンに手を出している
「ニューヨークに戻るんだな？」
『………』
「だから英二を日本に帰そうとしたのか？」
『……別に、そういうわけじゃない』
「なら、どういうことだ？」
『あの子は優しすぎる。敵にまで同情するような奴だからな…あの子は優しすぎる…生き延びるチャンスが1番少ない上に、あの子を巻き込みたくない』
「…今戻ったら殺されるぞ」
『かまわない』
「海斗」
腕を組みシンクにもたれかかりばっさりと言い切ると、アッシュは「なんでそうやって生き急ぐんだよ！」と怒鳴る
『…ここにいたとしてもそれは同じさ。奴らは私の捕獲を本格的にしようとしてる。じきに追手が来るのは分かりきってることだろ…ニューヨークがゴルツィネのホームグラウンドなら、そのホームグラウンドでいかに逃げ失せて戦うかが今は得策だ』
「……なぜ、ゴルツィネにこだわる」
『……………こだわってなんかないさ。こだわってるのは奴さ…』
「……？」
『これはあくまで推測だが、奴は多分…』
私の頭が欲しいのだ
「頭？」
「……まさか」
『国の機密情報にアクセスできる技量と機転の利いた頭なら、なんでもできるからな
それに…これ以上逃げ隠れするのは嫌だ。いつまでもビクビクしているわけにはいかない』
ゴルツィネに限らずこちらは鷹岡という敵にも目を向けなければならない
早々にどちらもクリアしておきたいんだ。長期戦は好きじゃないからな
「…だから英二を？」
『あぁ…。私を捕らえるなら、私と血の繋がる英二を連れ出すに決まってる。やり方はどうであれ、誘き出すならこれ以上ないほどの獲物だろう』
英二は自衛の術など持っていない。平和な家に生まれた極々一般の人間だ。暗殺の術なども持っているわけがない
『それに…』
「？」
問題は他にも…
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
