19話 ロス・アンジェルス ページ2
「むーーーー」
「……………」
「これ！」
「悪いな英二」
「ババ!?」
うわあああ！と叫ぶのは我がいとこ、英二である
男3人組はこの薄暗い中、スマホのライトを頼りにババ抜きをしているのだ。ポーカーは飽きたと言うアッシュの言葉をはじめに英二がババ抜きをしようと誘ったのがことの発端である
(うるっせぇ…)
毛布にくるまって耳を塞いでいるがギャーギャーと騒ぐこの3人の声は本当にやかましい。やかましいがすぎる。寝ろお前ら
ケープコッドを出て早くも3日が経った
ディノ・ゴルツィネの追手が来ている気配はない
「随分とご機嫌斜めだな、海斗〜」
『うっせぇぞ、クソ親父』
「お前ホント口悪いな」
『育ちが悪いもんで』
運転するマックスがルームミラー越しにそう聞いてきたのにイラつきをぶつけてやる
最高にイラついていたらもっとひどいことを言ってやろう
「海斗もするか？」
「やめといた方がいいよ、ショーター。姉さん、カードゲームの類じゃ、イカサマレベルで強いから」
「え」
「ホントにイカサマしてるんじゃないのか？」
『失礼な奴。ならイカサマしてるかどうか見極めてみろ』
ー10分後ー
『ストレート』
「ぐぬっ…」
「うわぁ、すごい…アッシュにこれで15連勝」
「怖…」
『さぁ、アッシュくん。野球拳というルールはわかってるだろ？さて…ラストのパンツマジで脱ぐのか？』
まさか野球拳の導入のポーカーをするとは思えず、ハンデを与えてやったにもかかわらずアッシュは今、下着一枚である
『お前、ハンデすごかったのに弱いな〜』
「お前が頭おかしいぐらい強いんだよ!!」
「ホントにイカサマしてないよな？ここまで来ると疑っちまうぜ」
「姉さん、馬鹿みたいに運があるから」
『馬券買っても全部当たりくじになるからな〜。あとは、福引で一等か特賞しかもらってない』
「なんだよその才能の無駄遣い!!」
「運の無駄が激しいな」
キッとブレーキがかかり、「一旦休憩するぞ〜」とマックスが声をかける
荷台の幌を上げて外に出ると太陽は真上だった。時間にしてお昼、そりゃ腹も減る
「んーー！姉さん、なにか食べるもの買いに行く？」
『……いや』
スマホの画面を見て『パス』とだけ言っておいた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 65人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
