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『…了解。任せろ』
《悪い》
『いーや、無理難題押し付けてるんだ。それぐらいさせてもらうさ』
イトナと二言三言話した後電話を切ってスマホをスイスイと動かし、『頼むぜ、コロコロ上がり』と送信ボタンを押した
完了しましたの文字を見てスマホの電源を落とすと「本当に誰だったんだ？」と聞いてくるのに『友達』とだけ答えておいた
6年前の…共に同じターゲットを狙った、仲間だ
「そんで、そこで俺がな」
「ショーター、お前嘘ばっか言うなよ」
「いやいや、これマジなんだって」
3人が喋っているのを横で聞きながら、移り変わっていく景色を眺める
このトラックで走って5日が経つが、まだロスにはつかない。といってももう少しぐらいだろう
(さて、と…)
トーク画面を閉じた後、これからのことを予測して色々と頭の中で想像して進めていく
BANANA FISHというものの正体、そしてあの謎のヤク物…それを紐解くには…
ロス・アンジェルス
ウェストウッド42の102
(そこに何かあるといってもおかしくないな…けど、なんであんなに持続性のある薬が…
いや待てよ…まさか、まさかあの薬…)
バナナフィッシュというのは、サリンジャーの小説に出てくるもので出会うと死にたくなる…死の魚と呼ばれてもおかしくなかった
そして、死を招くとも評されるその魚を名づけるということは…
自己破壊行動を見せたというあの薬…
(まさか…まさか、あの薬…)
この考えが仮説だとして、もしこれが本当のことなら…とんでもないスクープになる
そしてこいつらは…
談笑している3人、運転をしているマックスや伊部さん
『とんでもないことに首を突っ込んだってわけか』
知ってはいけない、パンドラの箱を開けてしまったかのような重大なことに冷や汗が止まらない
だけどもう止まることも後戻りも許されない
ここまできたら進むしかないのだ
(…とにかく、その住所に行ってみないと無理だな…)
ロスまであと少し。どんなことがこれから待ち受けているのか、嫌な考えを頭の中で悶々とさせながらこの穏やかな一日が少しでも長く続くように祈ることにした
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2022年1月2日 9時
