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アッシュ・リンクス、ショーター・ウォン
この2人に出会って俺は、よくわからない感覚に陥る
この2人を見ていると、どうしようもなくいい人たちだというのが、肌でわかる
「アレン」
『はい』
「あなたは人を殺し続けなさい。それがあなたの存在意義なのです」
『…はい、わかりました』
頬を撫でられたあの時の感覚は今でも忘れることができない
俺は、人を殺すことしかできない
アメリカのニューヨーク、ここで俺は毎日毎日、人を殺している
首を切っ裂き、骨を噛み砕き、血と臓物に塗れた体で歩き彷徨う
「アレン、食え食え！」
「お前、顔色悪いな。ショーターの飯食ってさらに悪くなるぞ」
「おい、アッシュ」
『………………飯？』
首を傾げながら目の前に出てきた、温かいモノに俺は目を瞬かせる
れんげと呼ばれるものを手に取り、ツンツンと突いて掬ってみるとポロポロとこぼれ落ちていく
『…………これは？』
「炒飯」
「食ったことないのか？」
『……………………ない』
記憶にある限り、飯とはこのことを言わない
温かいモノじゃない。冷たく腐ったモノだ
「アレン、好きな食いもんは？」
『………腐ってなければ、なんでも、食う』
「間違ってもゴミは食うな。そして生物も食うな。人も食うな」
『………………努力、する』
「なんだその間は!!?」
あむ、と炒飯と呼ばれるものを口の中に入れると独特な味が広がってきた
「大丈夫か？」
「水いるか？」
『…………………………不思議な、味だ』
「ショーターの飯は見た目はいいのに、中身がとんでもねぇやつだからな」
「食えねえなら、残していいぞー」
『………食う』
不味くはない。ただ、不思議な味がする
それ以上に、こんなに温かいモノを食べたことがない
「アレンは何歳なんだ？ちなみに俺は16、アッシュは15だ」
『…………わからない』
「え？」
「わからないって？」
『……………俺が、何歳なのかも、どこで、生まれたのかも、わからない』
「……生い立ちがわからないってことか？」
『………………そう』
カラッとまっさらになった皿を押して、水を飲む
驚く2人は「…なあ」と俺に声をかける
「お前、これからどうするんだ？」
『………いつも、通りに、する』
「……なら、ここに住まないか？」
『嫌だ』
「今までにないぐらいの即答!?」
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年12月5日 12時
