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アッシュが強い口調で王龍に言い放つと、「我々は」と親切心の塊だと言いたげな顔付きで王龍も言った
「他民族の干渉を受けずに我々のやり方で道を切り開いてきた。が、このところディノ・ゴルツィネは少しやり過ぎている
だから我々としてもゴルツィネに反旗を翻す者に対して幸運を祈りたいだけだ」
アッシュは「…いいだろう」と頷いた
「トラックを一台用意してくれ」
王龍は「わかった」と頷くと視線を俺に戻し「さて、アンバーハイエナ」と俺の仮初の名を呼んだ
「我々はキミに支援を惜しまないと思っているが、どうかね。その力を我々のために使うつもりはないか?」
『………悪いが、俺は…あんたらの、道楽に付き合うつもりは、ない』
「…ほぉ?」
『………………他を当たってくれ』
「………ハイエナを誇る者は、知能も徐々に下がると聞いていたが…キミは、維持しているんだな
それは……仲間の凄惨な死のせいかな?」
『……………………………』
俺は王龍をじっと見た後、『………あんたには、関係ない』とだけ言っておいた
もちろん、それ以上詮索するのなら殺すという意味を込めて
「残念だよ。キミの腕があれば、我々はもっと上に行ける」
『……………………失礼、する』
「では、ひとつだけ」
話に興味がもうないという意味を込めて歩き出そうとした俺を呼び止めた王龍は、顔すら向けない俺にこう発した
「幼い子どもが買われているよ」
『…………………ッ!?』
俺の瞳が揺れるのは、必然だった
俺はゆっくりと揺れた瞳を平然と保たせるために目を硬く閉じ、ドアに手をかけてそのまま部屋を後にした
スタスタと歩き、外廊下の真ん中で足を止めた
“アレン!俺にも教えてくれよぉ…!”
“………だめ、だ”
“なんでだよ!”
“……しなくて、いい”
“お前にばっか負担あるじゃん…”
“…………俺は、いいん、だよ…”
“よくねーぞ、このイケメン野郎”
“そうよね〜。男女平等に、なのに”
“アレン、だから…”
“!”
“俺にも教えてよ!!”
『………ッ』
“
「アレン?」
『!(ハッ』
「大丈夫、かい?」
神様になんか願ったことない
だけど、願わずにはいられなかった
ギュッ…
「あ、アレン?」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年12月5日 12時