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「え、それで尻尾巻いて逃げたのか？」
「逃げてねえ」
ショーターに言われてすかさず言い返すと、中華鍋を小刻みに揺らしているショーターが「ぶわっははは！」と豪快に笑う
「でもどうだったんだ？アッシュ。アンバーハイエナは」
「あぁ、その名の通りだったぜ？
アンバー色の瞳とグレーの髪の毛。目つきに佇まいはハイエナそのものだ」
「かーっ！恐ェ〜！命取られそうだな」
皿に盛り付けられたチャーハンをレンゲで掬って口の中に放り込む。相変わらずまずい
「まずい」
「って言いながら食ってくれるじゃねえか」
「ショーター」
「ん？なんだ、姉貴」
奥から出てきたのはショーターの姉、マーディアだ。マーディアは「ゴミ捨て行ってきて」とショーターに言うと、頷いたショーターは「ちょっと待っててくれな」と言って奥に引っ込んでいく
「あなた達、アンバーハイエナの話をしてたけど」
「マーディア知ってるの？」
「えぇ…最近、この辺りの人攫いが少ないのはアンバーハイエナのおかげなのよ」
「へぇ…あいつの」
「狙われたが最後…骨まで喰べるそうよ」
確かに…あいつは骨にまで喰いついていた
死人をさらに痛めつけるように罪を体に植え付けさせるようなそんなやり方だった
ハイエナは貪欲である
食に関してはそれはもう貪欲であり、巣穴には骨がいくつもあり空腹を凌ぐためにおいてあるとか
「あ、姉貴!!」
「ショーター？」
「裏に子どもが！」
「！」
ショーターが背負ってきたのは…
「…アレン!?」
「アッシュ、知ってんのか？」
「知ってるもなにも…アンバーハイエナだ」
「なにぃっ!?」
会った時と同じく、口には真っ赤な血があり乾いて茶色くなっている
ぐったりとしているそんなアレンをショーターの部屋に連れ込み、ベッドに寝かせる
口元の血を拭ってやると、白い肌が見えてくる
鋭く尖った八重歯にまで血が残っている
「恐ェ…」
「…あぁ」
手負いのハイエナのような姿をしているアレンは、小さくうめくと、アレンのアンバーの瞳が見えた
小さく揺れると、すぐに起き上がり『グルルル…』と腹から出た低く唸る声に俺たちはゴクリと息を呑んだ
瞳孔を開かせ、敵に容赦なくその牙を向ける
野生のハイエナだ
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年12月5日 12時
