0-19 ページ21
『……………優しいな、お前は』
ポン、と温かい手が頭に乗った
俺よりも背の高いアレンはいつになく小さく見えた
「…アレン」
『………？』
「さっきの男、なんだったんだ？」
『………………さぁな。よく、わからない』
コツン、と靴のかかとを鳴らしたアレンは歩き始めた
少しあとを追いかけると、俺のアジトにまでやってきた
アレンは振り返ると『ゆっくり、休めよ』とだけ言った
「…え？」
『…………俺が、ハイエナと呼ばれる意味、わかるか？』
「？」
『………鼻、いいから』
「っ！」
『…………腰、痛いんなら休め』
バレていたんだ。俺が腰を痛めていることを、ディノに抱かれたことを
アレンは悲しげに口元を緩めた後、『…また』とだけ言って歩き去っていく
自分のアジトに入ってベッドに寝転んだ
アレンはいつからわかっていたのか…きっとあの日、ディノが俺とアレンの目の前に現れたあの日だろう
アレンはディノと会ったことがあるのか？
あの警戒の仕方、唸り方、そして…あの憎みまくっているという顔つき
「ディノとアレン…」
ディノはアレンを欲しがり、アレンはディノを恨んでいる
何か過去に因縁があるのか？
(アレン…)
あいつの笑った顔も、泣いた顔も見たことがない
ずっとずっと無表情だった。いつもいつも、笑ってない、何も言ってくれない
(お前の、笑顔が見たい)
いつも無表情でたまに動いたと思えば仏頂面
アレン、お前が1番に笑った顔、俺見たいよ
「おーおー。イケメン面が崩れてるな」
「うるせえ」
あの後、全く眠ることができずにいた俺は目の下にクマをこさえてしまった
アレンに飯の手土産を持って路地に行くと、アレンの姿はなかった
「おーーーーい、アレン！」
「アレンー！」
「いねぇな」
「この通りにはいねえんじゃねえか？」
「うーん？」
眉を寄せてしばらく待っていると、ホコホコとした顔つきでやってきたアレンがいた
ショーターが「風呂入ったのか？」と聞くと、『…ん』とポヤポヤしながら頷いた
「お前、風呂好きなのか？」
『………気持ちいいから、好き』
プルプルと頭を振って水を飛ばす仕草も動物のようだった
水を弾き飛ばしたアレンは『…ふー』と息を吐いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 51人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年12月5日 12時
