Do you know love？【男主】 (ページ19)

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アレン

それが俺の与えられた名前だった

この名前が俺の本当の名前なのかと聞かれると、俺はなんと答えるのだろうか

俺はこの名前しか知らない

この名前でしか呼ばれたことがない

俺を表する名前は、ほとんど人殺しと同じような名前だった

ハイエナ

アンバーハイエナ

アレン

全部、全部、人殺しの名前だ

俺は、一体何者なんだ？

「アレン、アレン！」

『！』

「大丈夫？」

ハッとしたその時、暗かったあたりが明るくなっていた
火を消して上がっている煙がユラユラと揺れているのを見て、あぁ、これは…と自覚する

「ちょっと、大丈夫？」

「アレンでも、ボーッとするんだな」

「まぁ、無理もねえよ。こいつが1番飯食ってねえんだからな」

「ホント。配給されたもの全部、後輩にあげちゃうんだもんね」

「アレンは優しいからな〜」

『……………………優しくなんか、ない』

「どこが。自分の食いもんあげたり」

「毛布を分け与えたり」

「危険を顧みずに真っ先に飛び込んでいく」

「後輩よりも先に自ら敵陣に踏み込むその度胸」

「まぁじで、お前が1番のハイエナだぜ」

アンバー色の瞳がたくさんたくさん、俺に向けられる
その瞳がむず痒くて視線を切らす。自分の手首を見れば、赤くなっている上に手形まであった

それを申し訳ない程度にある袖で隠せば、「…本当にお前は優しいよ」と目を細めて眉を落として言われる

「……俺たちに被害がないのは、全部お前が引き受けてるからなんだろ？」

「…ありがとう、アレン」

「お礼を言っちゃいけないってのはわかってる。俺たち全員が、そういう風に育てられるはずなんだ」

「アレン、お前だって人間だ」

「逃げたっていいんだ、泣いたっていいんだ」

「救けてって言っていいんだよ」

『………………………』

逃げるってなんだ

泣くってなんだ

救けてってなんだ

俺の中には全くないそんな言葉を投げかけられても俺は困る

なんて答えればいいのかも分からない

「アレン、お前は…絶対、生きろよ」

『…………………………』

意識がゆっくりと浮上した
今まで見ていたのが夢だったことぐらいわかってる

眠っていた自分の頬に夕日が照らされる

俺は一体、何者なんだ？