Do you know love？【男主】 (ページ17)

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「アッシュ」

俺の名前を呼ぶ男が現れて、ヒュッと喉が鳴った
カタカタと震える体を見たのか、アレンがさらに唸り始めた

腹に響くその低い唸り声を聞きながらも「やっと見つけましたぞ、アンバーハイエナ殿」という、絶対に会わせたくなかった奴が現れた

「ディノ…」

『………………』

「まさか、キミがアンバーハイエナだったとはな」

『…………ディノ・ゴルツィネ』

「知っているのなら話は早い。どうだね、キミのその殺傷能力、私のために使わないか？」

『断る』

即答したアレンにディノは「…なぜだ？」と威圧的に聞いた。アレンはそれに臆することなく『…俺は命令されてやるわけじゃない』とはっきりと述べた

「なら、何のために？」

『…………自分のためだ』

「…ホォ？…考え直していただきたいものだ
キミのその力はもっと輝けるのだからな」

『何度頼まれても断る』

アレンは『早く消えろ』と言う。ディノは「アッシュ、来なさい」と俺を呼ぶ
震えた体で歩き始めようとすると、ザッと地面を踏みしめる音が聞こえてきた

顔を上げれば、アレンが八重歯を光らせて『失せろ』と低く唸った
ディノは「アッシュ」とまた俺を呼ぶ。俺はどうすればいいのか分からずにいると、アレンが『失せろと言ったんだ』と何度も言っている

「アッシュ」

『………………いい加減にしろ』

「アレン…」

『子どもを食い物にする奴ほど俺は殺したくなる…
俺に殺されたくなければさっさと失せろ』

その場を威圧するようなそんな殺意。ゴクリと喉を鳴らして黙っているとディノは「そう思い通りになると思うなよ」とだけ言って歩き去っていった

緊張が解けてフッと体の力が抜けると、アレンは『…大丈夫、か？』と覗き込みながら聞いてくる
俺は力無く頷くと、静かに両腕を抱えた

「…すまない。情けないところを見せたな」

『…………お前“も”大変だったんだな』

「…え？」

聞き取れない英語ではない何かの言葉で何かを言ったアレンに顔を上げると、少し悲しげな顔をしていた
今までに見たことのない顔に俺が息を飲んで声をかけるのが一瞬遅れた

「…アレン、今」

声をかけたその時、アレンの表情がいつものように戻った。声をかけるのが遅かったことに少し後悔しながらも、アレンのおかげでディノに連れて行かれずに済んだことに感謝した