Do you know love？【男主】 (ページ15)

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ニューヨーク…派手でキラキラと輝き、闇と光が渦巻く混沌の街
この街を一言で表すならば、まさに混沌だろう。一歩足を踏み間違えれば最後、抜け出せない闇の中に落ちてしまう

「アレン、久しぶりの俺の飯はどうだ？」

『……………進歩のない味』

「たしかに」

「お前ら〜」

前に食べたチャーハンよりも進歩のないそんな飯を掬って食べる
こんなに温かいご飯を食べるのは本当に久しぶりで、いつも食べていたものがどれほどのものだったのかよくわかる

こいつらを見ればこの生活が当たり前なのがよくわかる

温かいご飯を食べて、フカフカのベッドで温もりながら眠り、またいつもの明日を迎える
仲間と一緒に過ごし、またその日を乗り越える

憎らしく、羨ましく、それでいて…俺には手の届かない日常

追い求めても自分の手の中に収まることのないそんな未来を、俺は見ることもできず毎日自分の存在を証明するために人を殺し続ける

人攫いを、人殺しを、何人たりとも許すことなく、心臓をひと突き、首を掻っ切り、臓物を撒き散らす
骨を噛み砕き、むごたらしい死に様をさらしてやる

そう、教え込まれた

強靭な顎を手に入れるために、何度も何度も行ってきたこともあれば、元から持っていた自分の力をさらに伸ばす…それが俺の世界だった

だから、平穏な生活を手にしている…人を殺したことがなさそうなこいつらを見ていて、恵まれていると、おめでたい奴らだと思った

けど…人を思うことは誰よりも深い奴らだと思った
優しいんだ。優しくて温かい

(…見てきた奴らと、違う)

カラン、とれんげをおいて話し合っているアッシュとショーターを眺めながら、俺は自分の今までを少しだけ振り返った

人を殺し続けた俺がこんなに温かいご飯を食べれること自体が奇跡だ
今まで腐ったモノばかり食ってきたから、飯については特に何のこだわりもなかった。腹が膨れればなんでもよかったんだ

「アレン、これからどうするんだ？」

『…？』

「住む場所」

『……決めて、ない』

「なぁ、やっぱり俺ん家泊まれよ。3食飯付きのトイレ風呂完備だぜ？」

『…………遠慮する』

「うおいっ!?」

皿にあった飯を全て平らげた後、『ごちそうさま』とだけ言って席を立った

俺はいつまで人を殺すんだろう

終わりの見えない自分の存在意義

『…………先生、俺は、いつまで…』