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「もちろん、途中で嫌になればデートはそこまでだ
どうか、一度だけでいい」
『いや、ちょっ…』
現状把握のために少しだけ脳内を処理しよう
この人は、先日の見合いの件での謝罪をしてきたはず。そうだ、つい数分前までそうだったはずだ
だがしかし、その見合いの件が終わった途端にこれということは、つまり…あの時の、一目惚れという可能性は…大いにあり得ることになり、その可能性が今…100%になろうとしているということか?
『マジで?』
現実主義者としては、こんなミラクルなことがあってもいいのか?
それとも、これは夢か?
『…えっと、どうしてそうなったんですか?』
努めて冷静に聞いてみれば、「あのあと、ちゃんと考えたんだ」と言われた。うん、なにをだ
「一目惚れかと言われて…俺はストンと理解したよ…
黒い髪も黒い瞳も、全部俺のものにしたい…そう思った」
(ガチじゃねぇか)
指にくるりと髪の毛を巻きつけた彼は、そのまま口元に持っていき、リップ音を鳴らすほどのキスを落とした
さすが外国人。やり方が手慣れている上にサマになっている
ドギマギしながら見ていると、「デート、してくれるか?」とおねだりする形で聞かれてしまった
『も…』
「?」
『持ち帰って検討します…』
ーーーーー
ーーー
ー
「あっはははははは!! 持ち帰って検討するって!ビジネスマンかよ!!」
『人が真面目に考えてんのに…』
ポアロでロイに相談していれば涙を出すほど大笑いされた。「Pi」と鳴き声を上げた小鳥…ピアも笑っている
「ですが、お見合いをされた上にデートに誘われたということは…やはり、一目惚れの線が濃いのでは?」
『安室さん、聞いてたんですか』
「すみません、聞こえました」
「でもさ、いいんじゃねぇの?デートくらい」
『うーーん……』
頬杖をつきながら唸ると、「Pi」と寄り添ってきたピアを撫でると、気持ちよさそうにすり寄ってくる
彼からのデートの申し込みを持ち帰って検討から、数日が経った
連絡先を交換しちゃいなさいと母さんに言われて半ば強引に連絡先を交換した
アスランという文字と、トップ画面にはコーヒーと風景が映し出された写真とアイコンには空を飛び立つ白い鳥があった
「なんか、金持ちのくせに味気ねえな」
『ロイ』
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年9月24日 17時