シンデレラにはなれない【BANANA FISH】 (ページ5)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:3,000 hit

1話見合いページ5

『……………………でっか』

父さんからもらった地図を頼りに指定されたホテルに向かえば、今まで見たことないぐらいにでかいホテルが目の前にあった

お見合いということで粗相のない服を着てホテルに来たはいいが、これ逆に浮いてないか？
仕方なく地図をハンドバッグの中に押し込み、スマホを取り出して父さんに着いたという文字を入れれば、ホテルのラウンジだとすぐに返信がされた

ホテルの中に入り、ラウンジに行くと父さんと母さんが既にいた
見合い相手はまだ来ていないらしく、仕方なく待つことになった
コーヒーを飲みながら待っていると、コツン…と革靴の音が聞こえた

「マックス」

「よぉ、優作！」

「全く…今回は貸しだぞ？」

「ははは、悪いな。アイツ、もうすぐ来ると思うから」

「ねぇ、マックス。お見合いのことだけど、やっぱりこの子には早いんじゃないかしら…」

母さんが私の手を包み込みながら言うと、「まあ、これからもしもの時のための予行練習だと思えばいいさ」とマックスは答えた
背もたれに深くもたれて『はあ…』とため息を吐けば「悪いな、友季」とマックスが謝ってくる。全くだ、祝日をどうしてくれるって言うんだ

「父さん」

「おぉ、来たか！アッシュ、彼女が友季だ」

『…？』

マックスが立ち上がり、父さんも「久しぶりだね、アッシュくん」と挨拶を始めた
母さんは「いやーん！美形ねぇ」ときゃっきゃっとはしゃいでいる。元女優が何はしゃいでんだか…

「初めまして。アスラン・J・カーレンリースです」

「あら、マックスと違って礼儀正しいじゃない！」

「おいおい…有希子…」

『ハハハハ…』

いやーん！と嬉しそうに笑っている母さんは、「友季、こっちにいらっしゃい！」と私の手を取る
足がもつれそうになりながらも母さんの隣に立つと、「この子が私の自慢の娘の友季よ！」と背を押され、目の前にいる写真で見たあのイケメンと目がかち合う

『初めまして、工藤友季です』

「アスラン・J・カーレンリースです。よろしく」

ふんわりと笑った彼に、母さん「あと5年私も若かったら〜」とメロメロになっている。オイオイ…

「有希子、そろそろ」

「えぇ。じゃあね、友季」

「アッシュ、失礼のないようにな」

3人が歩き始めたのを見送り、アッシュと呼ばれた彼は「座ってくれ」と言ってきたので、お言葉に甘えて椅子に腰掛けた