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連れて来られたのはどうやら会社の食堂で、私を見てひそひそと会話が始まっていく
どうやら彼に好意がある女性たちのようだ
「何か食べたいものは?」
『特には…』
「OK、待っててくれ。適当に持ってくる」
2人がけのテーブルに座って待っていると、「ねえ」とスーツを着た女性数人が歩いてくる
声をかけられたのでそちらに顔を向ければ「あなた、アスランとどう言う関係?」とど直球で聞かれた
『親同士が知り合いなんですよ。最近知り合いました』
「ふぅん?」
「あなた、見るからに高校生ぐらいだと思うんだけど」
『はい、高校2年です』
「子どもね…」
「アスランには似合わないわ」
『重々承知してますよ』
はいはい、この後に続く言葉は
「「彼に近寄らないで」」
(ですよね〜)
少女漫画やドラマでよくあるお約束の言葉を聞いて無言で見つめていれば、言い終えて満足したのかツカツカとヒールを鳴らして離れていく
テーブルに肘をついて頬杖をして『ったく…』と悪態を吐く
こっちだって好きでここにいるわけじゃねぇんだけどな…
「どうかしたか?」
『え?あ、いえ、なんでもないです』
トレイをふたつ持って現れた彼は「生姜焼き定食だが」と差し出してきた
それを受け取り『ありがとうございます』とお礼を言い、割り箸を割って手を合わせて口に運ぶ
「…で、なんでここに?」
『たまたまですよ』
「マックスか?」
鋭いな…。ごくんと飲み込み『まあ、半分当たりですね』と答えれば彼は盛大に大きなため息を吐いた。と、思えば私を見て「会いたかった」と言われる。むぐっとご飯が止まる
「あれから連絡していいか迷ったんだ…」
『別にしてよかったんですけど…』
「迷惑だと思われたくなくて」
『連絡取るぐらいが迷惑だとするなら、世の中のストーカーはどうなるんですか』
タチの悪いストーカー相手に被害者たちはたまったもんじゃないだろう
かと言ってこの人がしていることはただうじうじ悩んでいるだけだ。ストーカーよりもよっぽど可愛いもんだ
「じゃあ、連絡してもいいのか?」
『返信は遅くなったりまちまちですけど』
「構わない」
見るからに嬉しそうにする彼に絆されそうになる自分がいる
落ち着けしっかりしろ、自分
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年9月24日 17時