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「秀ちゃん!」
「赤井さん!?」
『マジかよ』
母さんの声に新一がパタパタと駆け寄っていくと、「やあ、ボウヤ」と声をかけた赤井さんは私に気づくと「ホォ」とまじまじと見ている
「お嬢さんはこれからどこへ?」
「デートなのよ、秀ちゃん!」
「ホォ…楽しんでくるといい」
『う、うん…』
相変わらず、赤井さんはかっこいいな…
ほぅ…と眺めていると、ブブッとスマホがバイブした。画面には、《着いた》の一言
『母さん、行ってくる』
「え?もう来たの?」
『らしいよ』
ショルダーバッグを肩にかけてブルーのパンプスを履いて外に出れば、車の外で待っている彼がいた
「おはよう」
『おはようございます』
朝日でキラキラと輝くブランドが風で揺れている
ふわふわとしている髪の毛だし、線が細い上にすぐに絡まってしまいそうで絡まっていない髪の毛に羨ましくも思い綺麗だと思う
「おはよう、アスランくん!」
「おはようございます。今日は娘さんを1日お借りします」
「いいのよ〜!気兼ねなく連れてっちゃって!」
『おい、母さん…』
「気をつけてね、2人とも」
「はい」
『うん』
助手席のドアを開けて「どうぞ?」と微笑みながらエスコートしてくるのにちょっと照れながらも中に乗り込み、シートベルトをすると、運転席側に回ってちゃんとシートベルトをする彼を一瞥する
「楽しんでらっしゃいね」
『あぁ』
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
『行ってきまーす』
車がゆっくりと走り出し、母さんに見送られる形で出る
前に向き直り『今日はどこに行くんですか?』と聞いてみると、チラリとこちらを見た彼が「遊園地は好きか?」と聞いてきた
『まあ…』
「トロピカルランド」
『!』
「今日行くところ」
『…いいんですか?人混みですよ?』
「構わない。お前と行くならどこでもな」
はい、歯の浮くようなセリフを言われて口角がヒクヒクとしそうになったが、なんとか耐えた。耐え凌いだ
車で走ること30分程度でトロピカルランドに着いた
駐車場に車を停め、エスコートをしてくれる彼は本当に御伽噺の王子様だ
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年9月24日 17時