大王女様と山猫小僧10 (ページ8)

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アッシュside

たった2点を取ったこの短い時間で、驚かされることは多い
あの日本人2人はいとも簡単に相手チームを翻弄し2点を取った

「すごーい…」

「当たり前でしょ。瑞姫は日本でもトップクラスに入るほどのセッターなんだから。でも、“瑞姫すごーい”は最初からわかってる。そんな子と一緒に練習できるなんて私たちは相当恵まれてるのよ」

「それに、セッターの腕も攻撃の派手さもこっちだって負けてないわ！」

「そうね…たとえ総合力No.1だとしても、負けられないわ！」

点数もそこそこ回ってくると、瑞姫のサーブになった
手の中でボールを転がした後、笛の合図と数秒経ってからボールを放り投げ、重い音を出してサーブを打った

しかも、リベロに向けて

「速っ！」

「あんなん、取れるわけ」

ﾄﾞﾊﾟｯ

「「取ったーー!!!」」

「なんなんだよ、あのリベロ…」

『あいたーやっぱ凄いなー』

「何が“お手本”だ馬鹿野郎!! 普通に拾われてるじゃねーか!!!」

『えへへ』

瑞姫side

後衛に入った途端に決められると、『うーーーん』と唸りながらぐっぱっと手を握る

「…………おい」

『ん？』

「やりてぇならやれ」

『！』

「そう言う時のてめェの才能は、いつも間違ってねえ」

『…………オッケー』

子どもの頃から、私は健ちゃんと二人三脚でバレーをしてきた

クラブチームでは同じチーム、学校では別のチーム

一緒に強敵から必死に一点を取り、その一点を、違う一点、違う一点と繋げていく

そして教えてもらった

「お前がやりたいようにやれ」

「やりてえならやれ」

「お前がしたいものに俺も付き合う」

教えてもらった

そして、知っているからこそ

今までも

今日も

今この瞬間も

スパイカーたちは

最高のトスを待っていることを

ﾄﾞﾊﾟｯ

「「……………ッ!!!」」

脅迫(しんらい)と自負を手に

強靭なスパイカーを伴ってコートを統べる

2人「っしゃオラーーーーーーーー!!!!(ﾊﾞﾁｰｰｰﾝ！」

最強の女王になれる

『さあ…今日今この時も、バレーボール、もっとやろう』

「「…っ(ｿﾞｸｿﾞｸｯ」」