大王女様と山猫小僧10 (ページ50)

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『じゃあ…自由の女神が見たい…あと、カーネギーホールと…ロックフェラーも』

「あぁ、行こう…一緒に」

くしゃりと髪の毛を撫でてきたアッシュに『ふふふっ』と笑うとアッシュも少しだけ安心したように笑う

暗い顔をしちゃいけない

アッシュが、他のみんなが心配する

ｺﾝｺﾝ

「はい」

「俺…だ」

『！健ちゃん…』

震えた声が聞こえてきて、ゆっくりとドアが開くと震えた唇を動かして「瑞姫…」とゆっくりとこちらに歩いてくると健ちゃんは力強く抱きしめてきた

「瑞姫…瑞姫……っ！」

『…………健ちゃん…っ』

アッシュは静かに席を立つと、病室を後にした

「泣いていい、泣いていいんだよ…俺の前で、笑うな！」

『うっ……ひっ、あ"……あぁっ…ああ……っあ"あ"あ"あ"!!!』

大きな声で泣きじゃくり、健ちゃんの広くて大きな背中に頭を回して泣き叫ぶ

いやだ、いやだよ

『バレーボールしたいよお!!!!』

「っ…あぁ、そうだな…っ」

『うわあああああああああああ!!!!!!』

子どものように泣き叫び、私は健ちゃんの胸の中で大粒の涙を流した

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ーーー
ー

『健ちゃん、なんでここに？』

「アッシュから、連絡をもらってな…飛んできたんだ」

『アッシュに？』

「あぁ…。お前、記憶がないんだよな…16からの」

『うん』

「…高校3年間の全部の大会は、羽場真矢に負けた」

『…………そっか』

「…お前がアメリカにいるのは、聞いたか？」

『ううん、烏間さんがまた説明してくれるって』

「そうか…。あぁ、それと誕生日プレゼントだ」

『え？』

健ちゃんが出してきたのは、小さな小さな箱
開けてみれば、そこにあったのはリストバンド

「バレーボールしてる時は使えねぇだろ？
バッグにでも付けれるんじゃないかと思ってな…お前、まだあのお守り持ってるんだろ？」

『うん』

「俺からの新しいお守りだ。大事にしろよ」

『…うん』

手のひらに収まるほどのリストバンドを受け取り、ポケットに仕舞い込む

『健ちゃん、私ちょっと散歩してくるね』

「…ついていくぞ？」

『ううん、大丈夫だよ！健ちゃんはアッシュと待ってて！』

私はそれだけ言って松葉杖を使って病室を出た