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92-2 ページ49

アッシュside







『いや、いやだ、そんなのやだ!! いやだ!!!』

「大丈夫、大丈夫だ…っ俺がついてるから」









俺の胸の中で泣きじゃくり、いやだいやだと叫び続ける瑞姫の体を力強く抱き込む









2年前…あの時、俺たちが出会ったことは間違いだったのか?








太陽のように輝く笑顔を見せてくれた








瑞姫のバレーボールに対する気持ちをよく知ってるからこそ、こんなことになって欲しくて、俺は傷つけたわけじゃない、突き放したわけじゃない





こんな形の償いを望んだわけじゃない








出会ったあの日から、夢を見てるようだ






ずっとずっと、とても長い悪夢に









神様…



俺の大切な宝物が押しつぶされてしまう







誰か、誰か助けてくれ









瑞姫side









「なんで羽場真矢に勝てないんだ…っ!」

『くそっ!』









中学3年間、ずっと同じようなことを大会の後に言っては泣いて泣いて、強くなろうと練習してボールに触れていた




そんな奴らに一点でも取っていくとすごく嬉しくて、快感で、バレーボールにどんどんのめり込むような気がしてならなかった





バレーボールは楽しい








そんなバレーボールがもう二度とできない






高みを目指そうとした




強くなろうとした





チームと一緒に





健ちゃんと一緒に









『…………………………最悪の誕生日プレゼントだ』









ベッドの上で膝を抱えて涙を流す
この足はもう二度とバレーボールをすることを許さない





なんのためについてるの?




バレーボールをするためについてるはずの足でしょ?









「…瑞姫、入るぞ」

『……ん』









病室に入ってきたアッシュにみっともない姿を見せないために涙を拭うと「こすると、目が痛くなるぞ」と優しく撫でるように涙を掬ってくれた









「すまなかった…秘密にしてて」

『…………』

「瑞姫が、バレーボールを愛してるのを知ってて…言い出せなかったんだ…すまない」

『…ううん、謝らないで…気遣ってくれてありがとう、アッシュ』

「……」









泣きそうな顔をしているアッシュに私はにっこりと微笑む
そうだ、笑え、笑え。暗い顔をしていたら、今の自分のせいでみんなが暗い顔をしちゃう









「瑞姫。元気になったら、みんなで遊びに行こう
どこでも…お前が行きたい場所に連れていくよ」

『どこでも?』

「あぁ、どこでも…」

92-3→←92話 絶望の時間



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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月30日 11時

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