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バレーボールとは、足が必要なスポーツ
飛んだり跳ねたり走ったり踏ん張ったり、足がなければ高く飛び上がり強力なスパイカーと戦うこともブロッカーとも戦えない
足がなければ、レシーブをする時に踏ん張れない
足がなければ、足がなければ
オレンジコートには立てない
「瑞姫が何をしたって言うんだ!! あんまりだ…っ…あぁっ…!」
俺のせいだ、俺のせいで瑞姫がバレーボールを失った
俺のせいで、俺のせいで瑞姫の才能が…!
俺は泣きじゃくり、その場に崩れ落ちた
「俺のせいだ…俺のせいだ…あぁっ…あ"ぁっ!」
この世で愛した女の宝物を、俺が潰した
なんとか落ち着いて涙を拭い、1人で待っているであろう瑞姫の病室に入ると、『あ、アッシュだ』と俺の顔を見てニコニコした
『烏間さんも…お医者さん、なんか言ってた?』
「いや、気にすることはない」
『そっか〜。早く元気になったら、バレーボールしたいなぁ』
ポスッとボールを指であげた瑞姫に、俺は泣きそうになる
「…あぁ、そうだな。早く元気になって、バレーボールをしよう」
『うん!』
にひっと笑った瑞姫に俺は涙が浮かぶ
俺のせいで瑞姫はバレーボールができなくなった、俺のせいで、俺のせいで…
『アッシュ、大丈夫?』
「えっ?」
『涙…』
「あ…だ、大丈夫だ…なんでもない」
勝手に流れた涙を拭い取り、背を向ければ烏間さんは唇を噛み締めた
「白樺さん、俺は少し外に出る。アッシュと一緒にいてくれるか?」
『うん』
「アッシュ、しっかりな」
「…はい」
烏間さんが出て行ったのを見た後、俺は涙を拭い取ってベッド脇にある椅子に座った
「お医者さんが、回復したらリハビリを頑張ろうってさ」
『うげっ…リハビリかぁ…バレーボールできないじゃん』
「…悪い、俺のせ」
『こらっ』
「いてっ」
コツンっと弱めの拳で叩かれた
『体張って助けたのに、そんな風に言われると私の怪我はどうなっちゃうの?
大丈夫、リハビリも頑張るから。だから自分を責めないでよ。アッシュが辛そうだと、私すごく辛いの…ね?』
「…あぁ」
何があっても、俺がお前を守るよ
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月30日 11時