大王女様と山猫小僧10 (ページ44)

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アッシュside

1週間経った

瑞姫は1週間眠っていた

その間に、烏間さんが慌ただしい足でやってきた
俺は何度も彼に頭を下げ泣きじゃくり、慰めてもらった

俺のせいで瑞姫が大怪我をしたこと、目が覚めないこと、でも彼は俺を責めるのではなく「大丈夫」と言って何度も慰めてくれた

そして今、瑞姫が目を覚ました

「白樺さん、自分のことはわかるかな？」

『…(ｺｸﾝ』

「ここが病院というのはわかるかな？」

『(ｺｸﾝ』

「このまま、質問をするね。声が出るなら出してくれるといいし、無理なら首を振ってくれ」

白衣を着た先生に頷き返すと「じゃあ、まずは」と私が1番聞きたかったことを聞いてくれた

「今日は、何月何日かわかるかな？」

『………………3月…20日』

「「………」」

「キミは今、何歳かわかるかな？」

『……15歳』

私が言ったその言葉が、部屋の中を凍てつくした

ーーーーー
ーーー
ー

「白樺さん、キミは事故にあって怪我をしてこの病院に入院しているのはわかるかな？」

『うん』

「手術もした」

『うん』

「手術は成功したから安心して欲しい。それで、キミが事故にあってから1週間経ったんだ」

『ってことはぁ、3月27日？』

ベッド脇に立っている先生に聞いてみると、「いや…」と言う

「今日は8月19日、そしてキミの年齢は20歳だよ」

『……………ん？白樺さん、20歳？大人？は!? じゃ、じゃあ高校のインターハイや春高は…!?』

暗殺教室で習った英語をフルに活用して聞いてみれば、先生たちは言いにくそうにする
…そっか、負けたのか

いや、ただ言いにくい質問をした私にどう答えるか悩んだだけかもしれない

『……』

早い英語が始まって、ビッチ先生並みに喋っている先生を気にすることなく私は窓辺に立っている綺麗な人を見た

金色の髪の毛に翡翠の瞳、細くてしなやかな腕と指、でもそれでいて鍛えられた体
彫刻みたいに綺麗な顔、こんな人いるんだ…

私は綺麗な人から目を逸らした後、自分の手や体をペタペタと触っていく
髪の毛が幾分か知っているときのよりも長くなっていて、手も細くて見覚えのないアザが体にある

5年、5年経ったというのを実感させてくれる