91話 目覚めの時間 ページ43
アッシュside
時間にして12時を回った
俺の誕生日
「なあ、瑞姫…俺、お前に誕生日祝ってもらってないんだ…言ってくれよ、「おめでとう」って…お前の口から聞きたいんだ」
20歳になったよ
お前のおかげで俺はここまで生きてこれた
お前のおかげなんだよ
だから目を覚ましてくれ、あの綺麗な瞳を俺に見せてくれ瑞姫…
「お前がもし…死ぬようなことがあれば、一緒にいくよ…お前を1人には、させれないから」
痛々しい頬を撫でても、くすぐったそうに身じろぐような仕草はない
なあ、瑞姫、起きてくれ
起きて、笑いかけてくれ
瑞姫side
“俺にはお前の存在が重すぎる…もう、二度と、俺の前に出てくるな…出て行けよ”
ごめんね、アッシュ
ごめん、ごめんなさい
私、アッシュのためならなんだってするよ
ショーターのこと、償うから
償うから
だから、どうか
私を忘れて…アッシュ
(どこ…ここ)
ゆっくりと目が開いた
見覚えのない天井を瞬きすると、ここがどこなのか見回すために目を動かした
(誰か、いる…)
誰だろう…すごく綺麗な人
「…瑞姫？」
パチリと目が合うと、“綺麗な人”は私を見て立ち上がり綺麗な翡翠の瞳から大量の涙を溢している
「瑞姫！俺がわかるか!?」
嬉しそうにだけど苦しそうにしている“綺麗な人”を見ながら私は何度か目を瞬かせた
ここ、どこ？
「アッシュ、朝飯…」
「マックス！瑞姫が起きたんだ！」
「なにっ!? ちょっと待ってろ！」
ドタバタという駆け足が遠ざかるのと、「瑞姫、良かった…」と私の頬を撫でた“綺麗な人”
「瑞姫、話せるか？」
『……？』
口を動かしてみても、声が出るわけではなく喉が何故かひっついてるような違和感がした
「無理もない…1週間も寝てたんだ…仕方ないよな」
(1週間…？)
私、そんなに寝てたってことは…
今は、何月何日なの？
「先生！」
「やあ、目が覚めてよかったよ。ここがどこだかわかるかな？」
『…？』
「…ここは病院だよ」
(…病院？)
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月30日 11時
