大王女様と山猫小僧10 (ページ35)

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ウェルさんに返事もして、来月の11日にイタリアにいくことになったのはよかったけど…やっぱり届くのはアッシュのバースデーパーティーの招待状

オックンのやつ…まだマックスから聞いてないのか？
というか、イタリアに行くこと知ってるくせに…招待状を唇に当てて『んー』としていると、「どうしたの？」とクラリスが覗き込んでくる

『あ、クラリス。あのさ』

「？」

『バースデーパーティー、興味ある？』

「言ってたの？私行きたくないわよ？」

『お願い！私の代理ってことで！』

「あのねぇ…」

『お願い〜』

パーティーの招待状を渡すと「はあ」とクラリスは肩を落とした

「私が行っても意味ないと思うけど」

『祝ってくれる人は多い方がいいって〜』

「なら、あんたも行きなさいよ。前日に行くとしても、10日でいいじゃない」

『いや、無理があるから…』

「ならいっそのこと、あんただけパーティーに出た後にイタリアに飛べばいいじゃない。何も絶対11日に行かなくてもいいじゃない」

『…いいんだよ、これで』

アッシュはきっと、私を忘れて素敵な人と出会って幸せになる
ただ私はその幸せを自分の目で見るのが怖いだけだ

ー8月8日ー

『……………そんなことあるの？』

「俺もびっくりしたよ…まさか、飛行機が1週間…欠航するとはね」

激しい乱気流のせいで飛行機が飛ぶことができないらしく、1週間近くは様子を見るために飛行機が欠航するらしい
そんなことあるの？

『柳生っち、11日どうするの？』

「とりあえず、寮で筋トレとかかな。どうせ体育館にはみんなもいるし、練習入れてもらったりするから」

『だよねー』

「白樺さんは？」

『11日には寮を出て1週間はどっかで過ごすつもりなんだけどね。もうホテルは予約したし』

「へぇ…。言ってくれたら寮使えるようにしてもらったのに」

『男のいる寮はやだね〜！』

「ひどいな〜」

セントラルパークでオーバーのトス練習に付き合ってもらう
4日後はアッシュのバースデーパーティーがある。1週間後なんて15日だからパーティーには出れる

だけど…だけど

(向き合う覚悟が、ない…)

天高く舞い上がったバレーボールの落下地点に入ってそのままふんわりとしたオーバーで返した