大王女様と山猫小僧10 (ページ26)

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『だから、2人に相談したくて』

「瑞姫!!!」

『え？』

エミリーが慌てて駆け込んでくると「ビッグニュースよ!!」と息を切らして私の肩を掴む

「あなたにスカウトがきたわ！」

『え？』

「行き先はイタリア!! Vリーグの一軍、「ヴァニタス」!!」

『ヴァニタスって…』

「あの元女子バレーボーラーの」

「ヴァリス・ハーツリルの!!?」

「そうよ！この間の試合を見て、是非ともあなたを「ヴァニタス」のチームに招待したいそうよ！
アルゼンチンのヒロにも聞いてみたら、来年からそちらに移籍するそうよ！」

『忙しいな、ヒロは…』

ヴァニタス…イタリア…アメリカから離れる…

「…監督、それっていつ？」

「来月の11日!! その日にイタリアに行くのよ！どう？まだ時間があるから考えてみてほしいの！あなたの才能は…もっと素晴らしい舞台で輝かせるべきなのよ、瑞姫!!」

(ヴァニタス…イタリア…アメリカを離れる…アッシュ…)

喉が、肺が、潰れそうだ

監督は「あなたが決めるまでお話は待ってもらえるからよく考えてちょうだい」と言ってくれた
2人は「行くべき」と言ってくれたけど、私はやっぱり…アッシュのことが気になる

来月のアッシュのパーティーには参加できない
どちらにせよ、私はあのパーティーには行けない

と、いうことで

《へぇ、イタリアのヴァニタスに…どうしてぇんだ？》

『ヒロがいくって言ってるしついて行こうかなって…でも、アッシュをおいていくのもなぁって』

《あぁ…まあ、でも…お前がやりたいようにすりゃいいだろ。どっちにしろ、やることは変わんねえ》

『うん』

健ちゃんと電話をしながらイタリアに行くべきかどうかを相談する
正直言うと、イタリアにはすごく行きたい。アルゼンチンで力をつけてそのままとも考えたし、やはりイタリアのヴァニタスには行ってみたいと思った

でも、私は…

こんなに未練タラタラでイタリアに行けるかどうかと言われると難しいところだ

《時間があるんなら、とことん考えろ。俺はお前が決めたことなら正しいと思う》

『…うん、ありがとう』

とは、言うものの…やはり、考えてしまうのはアッシュのこと
パーティーには来て欲しいと言われたけど、絶対無理なんだよね…絶対険悪になる、イラつかせる

『とほほ…これほど自分が不器用とは…』