大王女様と山猫小僧10 (ページ25)

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「え？」

『いつもいつも、私の周りにいる奴らはいつも、いつも…』

1人になりたいとき、決めた時に、必ず誰かが現れた私の決意を押し流そうとしてくる
シンも、オックンも、マックスも、伊部さんも…アッシュも

『放っておいてよ！あなたが出て行けって言ったんでしょ！俺の目の前に現れるなって言ったからあなたに会わないように街を出る時も気をつけた!!
どうして、見かけたぐらいなら無視すればいい！
中途半端に相手して、自分が辛い時には突き放して…そばにいて欲しい時だけ優しくされて…私が辛くないと思ってるの？
ふざけないでよ!! 私のこと覚えてないくせに…思い出そうともしてくれない…ただショーターの仇の人間だから…っ…そんな風に言われて、私だって辛いんだよ…っ』

「瑞姫」

『差別され続けて、才能に悩まされて、自分の夢に迷って、大好きな人に忘れられて、私のせいで友達は死んで、もうたくさんなの!!

あなたの埋まらない心のために私を利用するぐらいなら、違う人と一緒にいればいいじゃない!!!
出てくるなって、会うなって言っておいて…自分から来て…意味わかんない…ふざけないでよ…っ…』

もう訳がわからないよ
アッシュの気持ちが…私のこと憎いなら今すぐにでも殺せばいい

その方がよっぽどマシだ

『オックンのお願いでパーティーに呼ばれたから…最後にするためにって…行こうと思ったけど…やめとく』

「瑞姫！」

『もう、お願いだから…放っておいて…私に、構わないで…惨めになる』

振り返ることなく、彼にきつく当たる
私が八つ当たりをする権利なんてない、だけど…憎いはずの人間になんでこうまでして近づくの？

「…英二から、パーティーのことは、聞いた…お前が、来るかもしれないって聞いて…俺、ずっと考えた…その日までにもっと考える…だから、来て欲しい
ショーターの仇とかそんなこと、関係なく…来て…欲しいんだ」

それだけ。と言い残して歩き去っていくアッシュに、さらに訳がわからなくなる
アメリカ人って、こんなに身勝手なのかな

「えーーーっ!? 出て行けって言っておいて来て欲しい!?」

「なにそれ！身勝手すぎるわ！」

『だよね〜』

ラウンジにいたクラリスとレノアにアッシュの誕生日パーティーに行くかどうかを相談し、今日あったことを説明すると「あのイケメン、随分と身勝手ね」とレノアが言った