大王女様と山猫小僧10 (ページ24)

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87話スカウトの時間ページ24

『ものの見事に全部からぶった…！』

「そういう日もあるよ」

「お疲れ様〜」

「瑞姫、今日ビーチどうするー？」

『今日はなんかダメな日だからやめとく』

「はいはい」

今日は最悪だった。というよりも、アッシュの誕生日が近づけば近づくほどコンディションは最悪だった
サーブはミスる、スパイクはブロックにつかまる、レシーブは乱れる、挙げ句の果てには相手のスパイク顔面で受ける

おかげで鼻血が止まらなかった

『あーーー…』

セントラルパークのベンチに座って項垂れる
気分転換で外を歩くにはちょうどいいかもしれない
近くだし

あれから、あのアパートには行っていないし行くつもりもなかった
ただ、エレンやレノア、クラリスに言われて誕生日プレゼントだけでも渡しに行っておいでと言われた

もちろん、行くつもりもなかったしプレゼントを用意するつもりもなかった
出て行けと言われたし、会いたくないとも言われたようなものだったし、私の存在が重いと言われた

だから、きっと会いたくないんだと思ってた
でも、でも…練習中どこかふと視線を感じてキョロキョロしたら、あのグリーンアイがいた

私をじっと見ている、目を逸らすことなく見てた

まあ、腹立つから声かけなかったし無視してやったけど

『いいよ全部全部！私だってイケメンな彼氏の1人や2人捕まえてやるーー!!!』

言ったそばから涙が出てくる

ダメだ、泣くな、泣くなったら

『ひっ…ひっぐ…ぅ…』

誰もいないセントラルパークの夕日を浴びながら膝を抱えて涙を流すなんて、あまりにも恥ずかしくて滑稽だと思う
でもそれが1番いい、誰にも見られない方がちょうどいい

「……………お前は、いつも、泣いてるんだな」

『！(ﾊｯ』

後ろから声をかけられてはたと動きが止まる

「…俺のせい、だもんな」

出て行けと言ったあの声で、震えた声で、怒りを込み上げたあの大きな叫びで私を突き放した彼が、どうしてそんなに弱々しくて辛そうな声を出しているのだろうか

『なん、でいるの…』

「…散歩してたら見かけたんだ」

『無視すればいいじゃん、なんで声かけるの…憎い人間に』

「…瑞姫、俺」

『…………放っておいてよ…』