大王女様と山猫小僧10 (ページ17)

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ダイニングテーブルについたオックンは、「疲れた〜」と項垂れている
労りのコーヒーを出してやると、「ありがとう」と言いながら口をつけている

『あ、そうだ』

「「？」」

『私、明後日出ていくね』

「「…え？」」

『体育館近くの選手寮があってそこに空き部屋ができたって監督から教えてもらったんだよね〜
で、練習もしたいしビーチバレーの練習も遅くまでできるからいいかなーって』

「なん、で…」

『だって私、アッシュにとって邪魔でしょ？』

「！」

「そんなこと！」

「待てよ…なんで勝手に決めるんだよ」

『…勝手？言っとくけど私、あんたのなんなの？
迷惑かけたし、ここにいる意味もほとんどない。ショーターの仇である人間を1ヶ月もそばに置いて結論が出ないってことはやっぱりそういうことでしょ？』

「だからって勝手に決めるなよ!!!」

不機嫌全開のアッシュの叫びがダイニングに響く

『……わかったわかった。じゃあ素直に言うけど…私、命狙われてるの。柳沢と似たようなやつにね
そいつがアメリカに来てるし、居場所を突き止められたら面倒だから出てくの。これでわかった？』

「命って…なんで狙われて…」

『…アッシュには関係ないよね？』

「っ！」

『とにかく、明後日出ていくから。私の私物全部捨ててくれて構わないから。じゃあ、オックンちゃんと休んでね』

「白樺さん、待って！」

追いかけてきたオックンは「どうして！」と詰め寄ってくる

『…本当はあと2ヶ月待ってから出ていくつもりだった…でもだめだよ、アッシュとはもう…友達にはなれない…』

「そんなことない！今からでも遅くないよ！」

『…オックン、私はね…足を引っ張るだけの迷惑なやつなんだよ…そんな奴が同じ空間にいてもイラつく原因でしょ？オックンはアッシュのそばにいてあげてよ…私ができなかったこと、してあげて』

「白樺さん…でも、そんな」

『ごめんね、今までありがとう』

ぽん、とオックンの肩に手を置いたあと寝室に戻り自分の荷物をスーツケースに引っくるめた
入りきらない荷物は全部ゴミ袋に入れて処分してしまおう

『さーさー、独りぼっちになりますかー！』

あとひとつの嘘…

『烏間さん、夜にそっちに行きます』

今日、出て行きます