大王女様と山猫小僧10 (ページ2)

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83話帰宅の時間ページ2

『なんか、疲れた〜』

夕方ごろにアパートに戻ってきて『ただいま〜』と言いながら中に入ると、コングやボーンズたちがひょっこりと顔を出した

「おかえり、瑞姫！」

「早かったな」

『買い物するからって言って早めに上がった！アッシュは？』

「ボスならちゃんと寝て、今は起きてるぜ」

『ふーん、ならよかった。今日、鍋にしようと思ってさ〜。私とアッシュじゃ食べきれないし、食べていくでしょ？』

「「いいのか？」」

『鍋は大勢で食べる方が美味しいんだよ〜』

ダイニングに入ると、アッシュとアレックス、シンがソファに座ってくつろいでいた
私に気づいた3人は顔をあげて「おかえり」と言う

『ただいま〜』

「なに買ってきたんだ？」

『鍋のダシ。今日は鍋だよ』

「食いてえ…」

『いや、食べてもらわないと困るんですけど』

「…なあ、瑞姫」

『んー？』

「スーツケース、寝室に運んどいた」

『…え？』

キッチンで手を洗ってタオルで拭いていると、シンがそう言った
私が驚いて顔を上げると、アッシュも立ち上がり「俺がしたんだ」と言う

「スーツケースの中身は出してない。見られたら嫌だろうし…荷物も全部一応寝室に入れておいたから確認しておいてくれ」

『あ、あぁ…うん、わかった』

急かされることもなく、ソファに座り直したアッシュを見たあとブブッとスマホがバイブした
誰からかなんて大体はわかる。オックンは仕事中はスマホを見ないし、だからといってオックンではない可能性もない

『うげっ…うっざぁ…』

「どうしたんだ？」

『ちょっと問題発生』

「バレーか？」

『んーん、違う』

ホテルの候補は上がってるし、烏間さんがいつでも手配してくれるのは決まったけど、やはり、鷹岡の所在は未だ掴めず。なぜアメリカに来たのかなんて私がノーマークだからだろう

『チッ』

「「……………………」」

静かなダイニングに響き渡る私の舌打ちと、その舌打ちを聞いてアッシュ以外が震え上がる
野菜や肉をぶつ切りにして鍋の中に放り込み煮詰めていき、シンに『ちょっと見といて』と言って寝室に自分の荷物をおきに向かう

寝室の中は言っていた通りスーツケースと、私の荷物が一式置かれている