大王女様と山猫小僧8 (ページ6)

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63話博物館の時間ページ6

『…………………………博物館？』

トラックの荷台に乗せられてしばらく走ったあと、荷台の扉が開いて背中を押されて地面に落ちた

『へぶっ!?』と言いながら顔面から落ちたのは致し方ないよね

『…なんで博物館？』

目の前には立派な自然史博物館なるものがあった
なんでこんなところに連れてこられたのか、少し周りを見ればわかる

ブランカさんがいるし、ケインもいる。しかも、入り口の方にはアッシュが月龍の首を締めて立っている
いいぞ、やれやれ！

私を見たアッシュが顔を強張らせた
うわあああん、ごめん！もうちょっと時間稼ぐつもりだったんだけど、思いのほか相手がうざかったんだよ！

『ケイン！引き上げろ！」

「！」

「早く！「ネズミの廊下」へ行け！」

「…！よし、引き上げるぞ！」

『連れていって欲しい…』

車に乗り込んで走り去っていくケインたちに『あぁ…』と嘆きながら見送ると、「そのまま動くな！」とアッシュが声を張り上げて博物館の中に入っていく

「ブランカ！交渉する気があるなら、「海洋生物の部屋」にいるぜ！」

『…………』

中に入っていくアッシュを見た後、なんとか立ち上がると「一緒に来てもらうよ、白樺さん」と私を見て微笑むブランカさん

博物館の中にコング、ボーンズ、アレックス、私がブランカさんと共に進んでいくと、「英二くんの肩の傷はもういいの？」と聞いてきて『だいぶ動けるようになってましたよ』と返しておいた

「そうか…」

『相変わらずの狙撃の腕ですね。びっくりしましたよ、引退したのが疑わしい』

「引退したよ。今回は特例さ」

ブランカさんと他愛もない話をしていると、アレックスたちがこちらをチラチラと見ている
大丈夫だよと笑うと、3人は顔を青くしたままだった

海洋生物の部屋に着くと、大きな鯨の模型がある中、床には数体の死体がある
どれもこれも、きっと全部アッシュの仕業なのだろう

「生物どころか、これでは墓場だね」

『………』

「あんたに教わったことは守っているだろう？」

『！』

声がした方に顔を向けると、階段の踊り場にアッシュが月龍の首筋にナイフを突き立てていた

「…お前の条件は？」

「人質全員と、このバカ様の交換さ」

『えー、それ虫のいい話じゃない？』

「瑞姫…」

「たしかに…彼女の言う通りだ」

「へえ、そうかな…」