72話 謝罪の時間 ページ44
俺がベンチに座ると、シンが自分の仲間を連れて歩いてきた
「俺の仲間から、裏切り者を出してしまった。そのことをまず詫びたい」
「笑わせるな!虫が良すぎるぜ!」
「黙ってろ!」
ケインの仲間が横槍を入れたものの、ケインの一喝でぐっと黙り込む
「これで済ますつもりはない。俺は制裁を受けるつもりだ
俺にとっても、瑞姫は大事な友達だからな…」
「………」
知ってる…瑞姫はシンを弟のように可愛がっていた
しかも、年が15とくれば昔の自分に重ねていたのかもしれない…
さっき言っていた、暗殺教室を過ごしてきた自分を
「だが、俺にもボスとしての責任がある。捕まった奴らを無事、助け出した後のことだ
その上でもし情けをかけてくれる気があるなら
アッシュ…あんたとサシで勝負したい」
「…………」
俺の前に立ったシンは、死を覚悟した言葉を放った
周囲がどよめく中、「な…何をバカな」とラオが震えた声でつぶやいた
「黙ってろと言ったはずだ!
…これで、全てケリをつけたい」
「だめだ…よせ…こいつはまるで虫からのようにユンとシャオを殺した!俺たちのことなんか虫けらぐらいにしか思っちゃいねぇのさ!」
「やめろ、ラオ!」
俺はなんの反応も示さずに俯いた
「こいつにとっちゃ、あの日本人2人以外は人間じゃねぇんだよ!
なんでそんなことがわからねェんだ!お前らの目は節穴か!? こんなやつに命を預けるのか!? この血も涙もない化け物に!!」
そこまで言ったラオにシンは思い切り頬をぶん殴った
「これ以上わめくなら」
「俺は抜ける」
「!」
「俺はどうしても、こいつだけは認めることができねえ…。悪いな、シン」
1人歩いていくラオを仲間が呼び止めようとすると、「放っておけ!」とシンが一喝した
「今後、ラオ・イェン・タイは、俺たちとはなんの関係もない余所者だ!」
ラオは静かに出ていき、シンは俺をまた見つめる
「すまなかった。で、あんたの返事は?」
「……わかった」
「感謝する、アッシュ
救出作戦には全面的に協力する。…俺の命をかけて」
シンの申し出を受け、俺は静かに下を向いた
こういう時、瑞姫ならなんて言うんだろうな…
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時