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ー1時間後ー
「(ハッ!」
目が覚めて飛び起きた
瑞姫のことが頭から離れず、俺は嫌な汗を流していく
そばにいたいのに、いられない
自分が歯痒くてたまらない
いつも一緒にいてくれた、自分のことなど後回しにして一緒にいてくれた瑞姫のそばに、俺はいてやれない
「起きたか」
「!」
「汗を拭くといい。風邪を引いてしまうからな」
「…ありがとう」
黒スーツの烏間がジャケットを脱いで椅子に座り、ペットボトルとタオルを手渡してくれた
俺はそれを受け取って自分の体の汗を拭く
「…大丈夫か?」
「………あんたは、なんでここにいるんだ」
「目的が同じだからだ」
「?」
「柳沢を知っているな?」
「!」
「俺はそいつを捕まえるために国立精神衛生センターに用がある」
「…………」
「本当は、彼女も連れていく予定だった」
「なに?」
烏間は目を閉じた後、「彼女は俺が教えたクラスの中でも上位に入る成績だった」と話し始めた
「暗殺教室を知っているか?」
「…大体は」
「俺はそこの体育教師として働いていた。当時まだ15歳だった彼らの学業をサポートするべく、俺は教室にいた
体育教師というのは表向きで、実際は暗殺のための訓練を指導していた
その中でも、赤羽カルマ、潮田渚などレベルの高い暗殺者が現れ始めた時、彼女の頭角も見え始めた
長距離暗殺では狙撃の成績も優秀で、クラスでトップを争う2人に食いつくほどだった」
確かにそうだ
ケープコッドで試し撃ちをさせれば1発で撃ち抜くほどの実力があった
「近距離暗殺では、ペアを組めばなかなかの成績を出したんだ
赤羽カルマ、潮田渚とのコンビネーションは絶大だった…あの3人の同時攻撃となると、俺でも捌けるかどうかわからん」
「…………」
「確かに彼女は他の成績では平凡で中段を走っていたが、クラスの中でも1番だったのはその冷静さだ
彼女がバレーボールをしていたからでもある」
「……」
「バレーボールは極限の緊張感の中、ボールを持ってはいけないし掴んでもいけない
たった0コンマの世界の中で正確なトス回しをしなければならない
誰よりも精密さを求められ、誰よりも敵ブロッカーのプレッシャーを受けながら、試合中誰よりも多くボールに触る…それが、彼女の務めるポジションだ」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時