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71話 存在の時間 ページ41

救急車がやってくると、ストレッチャーに乗せられて運ばれていく瑞姫のそばを離れずに何度も声をかける









「瑞姫……瑞姫っ!頼む、目を開けてくれ!」









腹から血がドクドクと流れて血の気が失せている
ぐったりとしている瑞姫の頬を撫で、手を握りながら一緒に救急車に乗り込もうとすると「離れろ」と俺の肩に手が置かれた









「ブランカ!? 烏間…あんたも」









ブランカのそばにいたのは、アパートで会った烏間だった









「お前は行くんじゃない。わかってるはずだぞ」

「うるさい!」

「……」









俺が瑞姫の元へ駆け出そうとすると、ブランカが俺の腕を押さえつけた









「放せ!……ッ!」

「こいつのことは心配なく。…彼女を頼みます」

「彼女を、頼みます。奥村くん、頼めるかい?」

「はい!」









ジェシカと英二は頷いて救急車に乗り込み、俺はそのまま走り出す救急車を見送ることしかできなかった









「瑞姫!瑞姫ーー!! 放せっ、放せ!!」









暴れる俺の首にブランカが容赦なく手刀を当ててきた
強い衝撃に俺はそのまま意識を手放すことになってしまった









ーーーーー
ーーー










気がつくと、ベッドの上だった
ハッとして起き上がると「動くんじゃない!」と強い力で押さえつけられた









「……放せ…っ!」









ブランカの懐に手を入れて素早く銃を抜き取り、それを構えた








「そこを、どけ…」

「アッシュ!」

「下がって。2人だけにしてくれないか」









ブランカの後ろにいた仲間が部屋を出ていくと、俺はすぐにベッドから立ち上がった









「…どけ。どかねえと撃つ!」

「行ってどうなる?お前は犯罪者だ
お前との関わりを追及されたら、彼女は共犯者にされかねない」

「っ…!」

「いつかこうなるとわかっていて、なぜ彼女をそばに置いた?
守り通すこともできんくせに。ただ自分の孤独を埋めたくて、そばに置いたんだろう!」

「黙れ……」

「彼女は、お前が救われるために存在しているわけじゃない!!」

「黙れーーーーーッ!!!」









引き金を引けば、ブランカのすぐそこを掠めた
それでも動かないブランカに俺はさらに銃の引き金を引いた









「クソッタレがーー!クソ、クソッ、クソッ!」









俺が引き金を引いてもブランカには、当たらない






「ハァ…ハァ…」








俺はそのまままた意識を手放した

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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時

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