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アッシュside
危ない?危ないってなんだよ…
血相を変えて俺を突き飛ばした瑞姫は、すごく焦っていてドアの方を見ていた
なんだよ、何があるって言うんだよ…
ガウンッ
1発の銃声が響いた
俺を庇った瑞姫の腹に着弾し、赤い血が流れ始めている
「瑞姫ーーーーーーーーッ!!!」
瑞姫が床に倒れると同時に、中国人の2人組が部屋に入ってきて銃を乱射してきた
俺の脇腹に銃弾が突き刺さるも、腰にさしていた銃を抜き中国人に向けて撃った
額を撃ち抜いたものの、何度も何度も撃ち抜いてやると「うわああっ!」と叫んで部屋から飛び出していく
ケインとアレックスが部屋の前まで駆けつけていたのに俺はそのまま飛び出していき、逃げる中国人を追いかけた
「瑞姫!」
「おい!タオルを持ってこい!!」
ケインとアレックスの声など聞く余裕もなく追いかけ、逃げている男の脳天を銃弾で貫いた
「シャオ・タイ!?」
死んだ中国人に何発も弾を撃ち込む
俺の頭の中を埋め尽くすのは、ゆっくりと倒れていく瑞姫、血を流していく瑞姫だった
「やめろ!」
「シン!よせ危ねえ!」
「どけ!!!」
「やめろ!もう死んでるんだ!!」
俺の前に出てきたシンに俺は銃を向けると、「よせー!」とシンの後ろにいたラオが銃を向けていた
俺はすぐにそれを撃ち落とすと「アッシュ!」とシンが言うのを無視して、俺は脱力した
さっきまで穏やかで居心地が良かった部屋に戻ると、血の匂いと硝煙の匂いに塗れていた
英二がタオルを持ってきて瑞姫の腹部に当てている
「しっかりして!早く救急車を!」
「わかった!」
ジェシカと英二が瑞姫を介抱している傍らで、俺は崩れるようにその場に膝をついた
「瑞姫!瑞姫……瑞姫ッ」
俺が何度も呼びかけると、瑞姫は薄く目を開いた
大好きな茶色い瞳が揺れている
『…アッシュ?』
いつもの力強くて明るい声とは違った…か細くて弱々しい声に俺は胸が張り裂けそうになる
泣き出しそうな顔で頷いて見せると、瑞姫はゆっくりと俺の頬に手を添えた
『…無事、だった…?よか、っ…た…』
「瑞姫…!」
『…大好、き…』
それだけ言うと、俺の頬に触れていた手をダランと落として意識を手放していた
「瑞姫…瑞姫!瑞姫ーーーーーーーッ!!!」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時