70-4 ページ39
『先生だって、聖人じゃない。いいことばかりしないのはよくわかってたよ
だけどね、ずっとずっといいことをするような人はいないんだよ、アッシュ
間違ってもいい、やり直せる。大丈夫、私やオックンがいる、カルマだって…私の友達みんながアッシュの味方だよ』
「………………」
『人は何度だってやり直せる。何があっても私たちが守るよ、アッシュ。アッシュはなんだってできる、なんでもできる、アッシュ・リンクスだもん！』
私なんかよりも多くの才能に恵まれ、人材にも恵まれ、大切な友達もいるアッシュにこれ以上なにかを奪わせたりなんかしない
「…じゃ、日本語を教えてもらわなくちゃな」
『え？』
「もちろんさ。キミならすぐ覚えられるよ！」
「そうかな？日本語って母音が基本だろ。「ギズモ」とかさ」
「イ・ズ・モ！」
「イ？ズ、モ？」
『紙とペン持ってくる』
「うん」
机を動かして椅子を引き、机の上に紙とペンを置いて日本語の勉強を始める
オックンが一通りの挨拶を書いていくと、アッシュは文字を見て「これは？」と指をさした
「最初の挨拶だよ」
『Nice to meet you.』
「ああ、それなら知ってるぜ？」
『え？』
アッシュがタブラ手振りを加えて自信満々に話し出した
「How are you？が「モウカリマッカ？」で、Fine,thank you. が「ボチボチデンナ」だろ」
「だっ、誰がそんなことを!?」
「伊部さ」
『アッシュ、それが通じるのは西日本にお住まいの方かもしれないね
伊部さん、ロクなこと教えないな…ったく』
「あははは…」
ペンシルの頭を指でノックしていると、芯が落ちてきた
うわ、芯無くなったじゃん…
「僕、ペン持ってくるよ」
『ありがとう〜』
オックンが席を立ってシンのところに行ってくると言って出て行ったのと同時に「なあ」とアッシュが声をかけてきた
『んー？』
「これは？」
『…えーとね、別れの挨拶だよ。また明日とかの意味と似てるかな。これは、さ・よ・う・な・ら』
「サ、ヨ…ナ、ラ？」
『うん、上手』
穏やかに復唱したアッシュに微笑むと、1番穏やかな笑顔を見せてくれた
その時、ふと空気が変わった気がした。オックンが戻ってきたのかと思ってドアを見ると、銃口があった
『アッシュ、危ない!!!』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月27日 15時
