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69-3 ページ35

シンside



格の違い、その一言につきる





弱くて守らなければいけないと思っていた対象が、実はとんでもない実力を隠し持った人間だと言うことには誰も気づかない






瑞姫は、弱いと思った




頭はいいのか悪いのかわかんないし、かと言って身体能力も平均的、特に何かに突出したような奴ではなかった



だけど、だけど見せられた今の格の違い









冷静に物事を見定めたあの力と、冷静を保っていることのできる精神面、格が違った
歳が違えど俺は負けたんだ、瑞姫に









「…瑞姫」

『んー?』

「なんで、そんなに落ち着いてるんだ?」

『なんでって、言われてもなぁ』









アッシュとジェシカが出て行ったので、俺たちは留守番だった
瑞姫はというと、みっちりアッシュに搾り取られた
それはもう、鬼のような形相で叱りつけるアッシュに瑞姫はむくれながら説教を聞いていた





早いスラングも混じった会話は、俺にとっても早すぎてよくわかっていなかったけど、瑞姫はそれを理解して言い返すなど、喧嘩が勃発していた



結局最後は、喧嘩両成敗ということで英二がその場を収めたが









『うーん、強いて言うなら…バレーのおかげかなぁ』

「バレー?踊る方?」

『ボールの方ですけど…私が踊ってたらおかしいでしょ』

「あぁ」

『否定しなよッ』









瑞姫が言うにはこうらしい
どんな激戦であっても、バレーボールは常に冷静でいなければならないこと

少しでも押されると、飲み込まれてしまうこと
そして瑞姫のポジションは、セッターというスパイカーにボールを出すいわば司令塔であり、1番冷静で頭が良くないといけないらしい




…今までの言動からして、瑞姫が頭がいいとは思えないけど









『セッターは1番落ち着いていなきゃいけない。戦況を把握し、敵のブロックのないところにボールをあげる…最高のポジション
自分のセットアップが決まる時のあの快感は、決まった時にしか味わえない』

「……それがバレーのおかげっていうのか?」

『うん。まあ、不足の事態はたくさん経験してきたし、もう驚くことはないよ…うん』

「何を体験してきたんだよ…」









心配してしまいそうなほど遠い目をした瑞姫に、俺は鋭く突っ込むと、『あははは〜』と笑って誤魔化してきた









『とりあえず、私がいつも冷静でいれるのはバレーのおかげ!』

「とか言いつつ、パニックになってるけどな」

『アレックス、半殺しにしようか?』

70話 大好きの時間→←69-2



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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時

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