大王女様と山猫小僧8 (ページ23)

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マックスとジェシカたちのいる部屋から屋上に向かった
少し暗くなってきた。その場に座り込んで群青色と赤を混ぜた色をしている空を見ていると、どう見てもその２つを混ぜてもできない色が現れた

『アッシュ』

「ん」

ちゅっとリップ音をしてキスをしてきたアッシュは、隣に座ると「あのさ」と言ってきた
私はアッシュを見ると、「いつか」と言葉を紡いでいた

『んー？』

「ウエディングドレスを着た瑞姫を、見せてくれるか？」

『…え？』

「俺が隣にいなくても、見せてくれるか？」

『…………なに、それ』

なんで、そんなこと言うの…

「瑞姫？」

『アッシュは、私がどこの誰かもわからない人と結婚してもいいの？』

「………」

『アッシュは私と一緒にいたくないの？結婚とまでいかなくても…』

「わからないだろ、そんなの…」

『………………絶対見せない』

「え？」

『私の隣に立つ人がアッシュじゃないんなら、見せてなんかあげない…絶対に、ウエディングドレスなんか見せてやんない！』

「瑞姫！」

バッと立ち上がって屋上から階段を駆け降りた
悲しいぐらいに心が痛くて、涙が出そうになったけど意地で流さないようにした

「…瑞姫、お前どうした？」

『なんでもない…』

「その割には、辛そうよ？」

『………アッシュが』

「「アッシュが？」」

『…なんでもない』

「「？」」

マックスとジェシカに言ったらきっと八つ当たりする。もう子どもみたいなことしないようにしないといけないからここら辺で口を閉ざしておこう

一斗缶の前で焚き火をしているので、その火に温まるように手を出しているとアッシュが仲間と話しているのが見えた

「マックス、ちょっと席を外してちょうだい」

「え？なんで…」

「いいから、ほら！」

「わーったよ！押すな！」

マックスが頭をかきながら「なんだあ？」と歩いていくと、「ほら、瑞姫」とマックスが座っていた場所に座るようにジェシカが言った

「さっき、アッシュがって言ってたけどなんて言おうとしたの？」

『……………アッシュが』

「うん」

『…私のウエディングドレス、見たいって』

「あら！」

『でも、それ…私と結婚するって言う意味じゃなかった』

「え？」

『アッシュじゃない、他の誰かとの結婚式で着るウエディングドレスが見たいって』

「…！」