67話 夜更けの時間 ページ20
朝になり、目を覚ますとアッシュの赤いパーカーがそばにあるだけでアッシュ本人はいなかった
パーカー自体が冷たくなっていて、どこに行ったのか分からず部屋を出ると、「あ、おはよう」とオックンが声をかけてきた
『おはよう、オックン。アッシュは？』
「え？あ、あっちにいたよ」
『ありがとう』
「うん」と言ってオックンと別れてアッシュのいるという部屋に向かうと、マックスとアレックスがいた
「よぉ、瑞姫！」
『マックス…おはよう』
「おはようさん！元気だったか？」
『うん。なんとかね…マックスは？』
「あぁ、なんともねぇよ」
元気なマックスにちょっと笑っていると、「そのパーカー」とマックスが手に持っていたのを見ると、「ははーん？」とマックスがニヤニヤした顔でアッシュを見た
「なんだよ」
「お前、さては昨夜瑞姫と一緒に寝たな？」
「なっ…！おっさんには関係ないだろ！」
「いいねぇ、若いって…」
『……えっ、と？』
「瑞姫、英二がおにぎり作ってくれたんだ。食うか？」
『うん』
マックスがアッシュをからかっているのを見ながら、アレックスからおにぎりを受け取った
塩加減が絶妙なおにぎりを食べていると、「そのパーカー、着てていいぞ」とアッシュが言った
『え？』
「お前、赤いパーカー好きなんだろ？」
『…アッシュが着てるのが好きなんだけど』
「いいからやるよ」
『でも…』
「着ててよ、オネエチャン」
『…………』
久しぶりに聞いたオネエチャン呼びに渋々パーカーに袖を通すと、やはりサイズは大きかった
腕なんてダボダボだ。くそぅ…白樺さん、バレーボーラーなのに…腕短いみたいな感じがして腹立つ
「お前なぁ…牽制にもほどほどにしとけよ」
「独占欲強そうだな、アッシュは」
「うるせぇ」
(アッシュの匂いがする…)
おにぎりを食べ終えると、「瑞姫、外に出るか？」とアッシュが聞いてきた
外に出る？いいのか？そんなことをしても
「息が詰まるだろ？」
『まあ…』
「リフレッシュだと思って行こうぜ」
『う、うん』
「気をつけろよー」
マックスとアレックスに見送られる形でアッシュと一緒に出ると、コングとボーンズも後を追いかけてきた
どうやら、これからいく先に用があるらしい
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月27日 15時
