65-3 ページ13
シンにお粥をあげたり、介抱して夜になる頃にはシンも疲れて仮眠をしている
薄暗いキッチンで洗い物をしていると、ケインが入ってきた
『やっほー、なんか食べるの?』
「いや、水をもらいにきた」
『はーい、ちょっと待ってね〜』
ペットボトルに入った水をコップに注いでケインに渡すと「ありがとう」とお礼を言われた
素直にお礼を言えるやつっていいやつだと思うよ
「そういや、瑞姫。お前、アッシュのなんだ?」
『へ?』
「友達、ではないだろ。あれだけ熱烈なキスをしてたんだからな」
『あー…あははは…みんなの前でしちゃったもんね〜』
恥ずかしさを紛らわすように頭の後ろをかくと、『まあ、うん。察しの通りだよ』と言うと、「へえ」とケインは揶揄うように声を出した
「あの恐ろしい山猫にか」
『まあ、1回別れたんだけどね』
「なんでだ」
『…お互いのため、ってことだね』
「…………」
『別に、そうしたいって言うんならそうするよ…でも、想ってくれてるんならそばにいて欲しいよ…好きだもん』
「…そうか」
『うん。ケインもいい男だね〜』
「恋人がいるのに他の男を褒めていいのか?」
『いいのいいの!友達なんだから』
「変な奴だな」
ケインと話していると、アッシュがキッチンに入ってきた
特になんの用もないらしく、椅子に座った
「厄介なことになったな…李月龍だっけ?
綺麗なツラして、おっかねぇヤローだぜ。お前に似てるな」
「あん時、殺しときゃあよかったな」
『………………』
サラッと皮肉めいた笑み浮かべて言ったアッシュを見ずにいると、「奴らの監 禁場所が割れたぜ!」とアレックスが飛び込んできた
『縫製工場の地下倉庫?』
「あぁ」
《この工場の地下倉庫に、シンさんの仲間が閉じ込められていることが防犯カメラからわかりました!》
「…一応聞くが、その防犯カメラの映像、どうやって調べた」
《ハッキングしました!!》
『律、よくやった』
グッドサインを出すと「ハッキングさせるなよ」とアッシュが呆れた声を出す
スマホをウエストポーチの中にしまうと、超体育着の服を黒く染めていく
「おい、何するんだ?」
『白樺さん、本領発揮』
「ドジるなよ」
『一言余計ッ』
30人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時