62話 地下の時間 ページ2
「早くしろ!時間がないぞ!」
大声を出したアッシュがフラリと倒れかかったのを、すぐに支える
『アッシュ、大丈夫?』
「…ちょっとフラついただけだ。ジジイの邸の食いもんは食えた代物じゃなかったからな」
『えっ…ゴミでも食べてたの?』
「馬鹿野郎」
あぁ、アッシュの口に合わなかっただけですか…
『本当は具合悪いんでしょ?オックンに言えないなら、私に言ってよ』
「……ここひと月ばかり物が食えなくてな。水と点滴だけで過ごしてたんだ」
『…なんで、食べなかったの…』
「大丈夫だ、そのぐらいじゃ俺はへばらねぇよ」
『あ、うん…それはもう身に染みてわかってます…はい』
身を起こしたアッシュは、銃を差し出してきた
「2度とこいつを持たせたくなかった。…すまない」
『大丈夫、謝らないでよ。日本人のお株を奪う気?行こうよ、ボス!』
銃を受け取り、ホルスターに銃を差し込んだその時、「うわああ」という悲鳴が聞こえてきた
振り返ってみると、銃弾が雨のように降っている
「たっ、大変だ!追手が!」
『オックン、しゃがんで!』
オックンの肩を押さえてしゃがませ、頭を守るようにしてしゃがむと、地下鉄の中には無数の銃弾が飛び交っていく
「危ねェ!下がれ!!」
『あ〜〜〜〜もーーーッ!! ちょっとぐらい時間くれたっていいじゃんかーー!! 烏間さーーーんっ!!!』
叫んだって人類最強の人間が来るわけないのはわかっているし、きたとしたら多分相手が可哀想なことになるから来ないでほしい。いや来て欲しいけど来ないで欲しいというかうーーん、悩ましいところだ
「ひとまず北の水路に出るぞ!! ケイン、誘導してくれ!」
「わかった!」
『律!案内お願い!!』
《了解しました!》
線路に沿って走るケインたちを追いかけ、オックンを先に行かせてスマホから内部マップを出してもらう
ライトが照らす薄暗い地下道を全力で走り抜けていく
《水路に出ました!このまま、隧道を抜ければイーストリバーです!》
『!オックン、こっち!』
「うえっ!?」
オックンの首根っこを掴んで壁際に身を寄せる
下水の先に対岸のトンネルから男たちが出てきて銃を向けていたのだ
「こっちからも来やがった!」
『!』
「退路を塞がれたぞ!」
「催涙ガスだ!」
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作者名:サッカーバカ | 作成日時:2021年8月27日 15時