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細胞分裂終わった瞬間、反物質生成サイクルは消滅せず、細胞を飛び出して外に向いた
月の物質を
連鎖的に反物質へと変えてゆき
直径の7割消し飛ばした
マウスと人間の細胞周期を対比すると、人間の細胞が同じ不具合を起こす瞬間が、正確に算定すると
来年の3月13日
同じことが「死神」にも起きることになる
つまり、地球が滅ぶと言うこと
大混乱の研究所内
大声で話してしまった柳沢は仕方のないこと
そしてそれを、モルモットとしてではなく、信頼関係を築いてきた人間として
「死神」に伝えてしまったあぐり先生も責められない
あぐり先生から聞かされたことを聞いて「死神」は黙った
そして、「死神」の耳にあぐり先生の声は届かなかった
自分の「死」が見えた瞬間、「死神」は間違った悟りを開いた
そうだ、なぜ忘れていたんだ
人間とは死ぬために生まれた生物
まして自分は夥しい人間を葬った殺し屋
呪われた死を迎えるのは…当然の義務だ
だが、せっかく手に入れた力、使わずに死ぬなんて勿体無いと
触手の形は感情に大きく左右される
感情が歪めば
彼の全身は異形に歪む
自分の計算を遥かに超えた「死神」の能力を見て…柳沢は悟った
この実験が自分ではなく、「死神」によってコントロールされていたことを
実験の失敗、モルモットの反逆、あぐり先生の変心
ズタズタにされたプライドが柳沢を突き動かした
「死神」の脳は澄んでいた
殺し屋時代の全盛期の感覚だ
触手などに頼らずとも、人など殺せる
1年後にはどのみち死ぬ身、ここで死んでも構わないし地球と一緒に死ぬのも悪くない
自分の死までが見えた時、万能の殺し屋は全てが見えた気になった
どれが危険で
どれが強いのか
どちらが生き残るか
(…ダメ、行っちゃダメ)
全部見えていた
(だめなきゃ。そっちに行ってしまったらあなたはもう、戻れない)
あぐり先生は、敵でも障害でもなかった
彼を見ていたあぐり先生の存在が、彼には見えていなかった
触手地雷で貫かれたあぐり先生は致命傷だった
医学を極めた「死神」でも治せないような
「死神」は声をかけただけでは止まることができない程まで堕ちていた
あのまま外界へ出ていけば、歪んだ感情が触手を歪め、歪んだ触手が感情を歪め、どす黒い姿の破壊生物として安定してしまうところだった
呼び戻してくれたのは、あぐり先生の感触だった
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作者名：サッカーバカ
| 作成日時：2021年8月25日 20時
