大王女様と山猫小僧7 (ページ35)

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『えっ…』

「しっ」

『ボーンズ、なんで…』

「訳はまたあとでだ」

目の前にいたのはボーンズだった。しかも、ウェイター姿でテキパキと片付けをすると「失礼します」と言って立ち上がる

私が黙って見ていると、「安心しろ」と小さく言って歩いて行ってしまう
なんでここに…ボーンズが…

じっと見ていると、「白樺さん」とブランカさんが声をかけてきた
振り返ると、「こっちに」と手を優しく引いてきた

「ムッシュウ、私が押しましょう」

ゴルツィネに許可をもらったブランカさんは、「さあ」と手を優しく引き車椅子の押し手に手を重ねさせてくれた

すぐそこに、アッシュがいる

ゴルツィネたちが挨拶をしている中、私は震える手をギュッと持ち手に握りしめた

「…アッシュ。爪と牙はまだしっかりしているな？」

ブランカさんがアッシュに耳打ちしている中、ふと見えた黒髪のウェイター
私と目が合うと、小さく微笑んで歩いていく。下手な変装だけどあれ、絶対オックンだ

…菅谷の変装マスク被せてあげたい

「私は月龍氏と契約した」

「…………！」

「アッシュ、お前の大切な宝物は無事だぞ」

アッシュがゆっくりとブランカさんの方を見たのに呼応するように、ブランカさんは「さあ」と私の手を取るとアッシュの肩に乗せた

『……………アッ…シュ』

「…！」

震えた声が出てきて変な声になった
その上手も震えているからアッシュは、ゆっくりと私の手に自分の手を重ねた

「…瑞姫、か？」

『うん…私だよ…』

「…怪我は？」

『ないよ。アッシュこそ、目が…』

「大したことない…大丈夫だ。心配するな」

顔を見ずにいると、アッシュが自然に手を下ろした
久しぶりに触ったアッシュの手は前よりも細くなっている気がした

『…ご飯食べてた？ちゃんと寝てた？』

「…あぁ」

(嘘つき…)

コツンとアッシュの頭に自分の額をくっつけた
ご飯食べてないことぐらい、見てたらわかるよ…動きだって鈍いし、顔色だって良くない…手だって細くなってる、きっと体も痩せて多分さらに痩せてるんだろうな…

「…心配するなよ」

『…してない、バカ』

泣きそうなのを必死に堪えていると、ぽんぽんとブランカさんが優しく頭を叩いてくれた