大王女様と山猫小僧7 (ページ26)

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『…いいよ、好きにすればいい』

「瑞姫！」

肩をすくませて答えはとアッシュが「馬鹿な真似はよせ！」と怒鳴ってくる

『もう人質には慣れっこだよ。いやってほど、狙われてきたんだ』

「瑞姫…」

鷹岡の時も、シロの時も、死神のときも、柳沢のときも、いやってほど人質としてE組のみんなは殺せんせーを苦しめた
そして、苦しめられた…自分たちのせいで先生が傷ついたりすることが、本当に嫌だった

「…取引は成立です」

そう言って歩いていく月龍は、「あなたは僕と一緒に来てもらいます」と私に言う
握っていたアッシュの手を一度だけ強く握り、スルリと離すと思いの外簡単に抜けてしまった

ｸﾞﾝｯ！

『えっ…？』

後ろに引き寄せられてバランスを崩せば、上からグリーンアイが辛そうに私を見ている
押し当てるようなキスに私は目を見開いた後、開いた口から舌が入ってきた

一瞬で絡め取られて撫で回されて吸われて、堪能された

『はっ…』

「絶対、助けるから…待っててくれ」

『…アッシュ…』

小さな小さな声、震えたその体で抱きしめてくるアッシュを宥めるように慰めるようにぽんぽんと背中を優しく叩いた後、ゆっくりと離れるとまた触れるだけのキスをする

ほんの少しだけ、お別れだね

「お別れの挨拶はもういいのかな？」

『…フン』

そっぽを向いて歩き始める
月龍は「嫌われたね」と自嘲気味に笑っているのに対して私はちらりと後ろを振り返ると、アッシュは何かを決意したように「待てよ、ブランカ！」とブランカさんを呼び止めた

「行く前に1発殴らせろ！」

「それで治るのか？」

「治らねえさ！けど、このままお前を行かせたら俺は死んでも死にきれねぇ！」

『……アッシュ』

髪を振り乱したアッシュを見ていると、ブランカさんは懐かしむようにアッシュを見て肩をすくめた

「そのカッとなる性格を、なんとかしろと言ったはずだがな」

『……………』

無言でアッシュを見ていると、「よろしいですか？」とゴルツィネに聞いたブランカさんに、「構わんよ」と許可を出した

「ただし、あまりダメージを与えんようにな
後の楽しみが無くなる」

(変態ジジイが…)