大王女様と山猫小僧7 (ページ17)

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56話狙いの時間ページ17

烏間さんは鶴田さんと鵜飼さんがいるホテルに戻って行き、また騒がしいことが起きそうだなぁと思いながらいた

呆けていると「ぼーっとしてるな」とアッシュが覗き込んでくる

『んー…』

「大丈夫かよ」

『多分』

部屋に入っていったアッシュを見送ると、オックンがあとから入ってきた
コーヒーを持って入ってきて「はい」と渡してくれた

『ありがと〜』

外はオレンジ色になっているし、アッシュはアッシュで昼間はマックスとどっか行ってしまった
私はと言うと、昼間は烏間さんと柳沢のことについて話してはいた

だけどわかっていることをおさらいしただけだから特に何も変わったことはない

「アッシュにコーヒー持っていってくるよ」

『うん』

ズズズ…とコーヒーを飲んでオックンを見送っていると、「アッシュ、コーヒー…」と部屋の扉を開けたオックンに「来るな！」という叫びがあった

ガチャンッという音と、何かが倒れる音が聞こえてきて『なに!?』と部屋の方に走ると、2人が床に倒れていて周りに何か穴が増えていく

「ボス！」

『ボーンズ！電気消して!!』

超体育着の上着を羽織り、フードをかぶって部屋の中に飛び込み壁を伝っていく
電気が消えた瞬間に窓を突き破る音が止まり、カーテンを一気に閉めた

『走れ!!』

リビングに駆け込んだ2人の後を追いかけて部屋から飛び出してドアを閉める

「英二、大丈夫か!?」

「うん…かすっただけみたいだ…」

『うひゃあ、痛そう…救急箱持ってくるよ』

ボーンズが死活してくれているのを見て、救急箱を取りに向かう
あの狙撃の腕…間違いない…やっぱり…！

ブランカさんだ

『落ち着け…あの人が狙ってるのはアッシュじゃない、オックンだ…落ち着け、まだ勝機はある』

大きく息をして救急箱を持ってリビングに行き、消毒と包帯とガーゼを取り出してボーンズに渡していくと、ブブッとスマホがバイブした
律が画面に現れて《非通知》という文字と真剣な顔を向けている

『まさか…』

嫌な予感がして通話ボタンを押して『もしもし』と警戒しながら応えると《やあ、白樺さん》と言う優しい声が聞こえてきた

『〜ッ』

《そう怒らないでくれ…これも仕事なんだ》

『仕事で宝物傷つけていいっていうの!?』

大きな叫びにボーンズたちがこちらを見ているのに気づいて、私はリビングを後にする