大王女様と山猫小僧7 (ページ16)

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55話スペックの時間ページ16

『烏間惟臣、人間離れした人だよ
革靴にスーツで体を動かすのに適さない格好してるのに、崖から飛び降りて動ける俊敏性
瞬時に判断して爆発の威力を最小限に留めるようにしたり…
理想の女性のタイプは、“理想の戦力”だったり』

「瑞姫、それは人間か？」

『なんか、いろいろ言われてるよ
24時間マラソンで350キロ走ったとか、1対70の密林戦闘訓練で勝ったとか、泳いでこっそりサハリンまで渡って買い物してきたとか…』

「人間か？」

遠い目をしながらアッシュの質問に答えずにさらに続けていく

『ベンチプレスで129キロ持ち上げたとか、背筋力が384キロだとか、視力が3.0とか、握力が110キロだとか、体脂肪率が3%だとか、倒したことのある動物がツキノワグマだとか、密林において72時間不眠不休で連続作戦が可能だとか、防衛省内の柔術大会で6連覇とか、空挺部隊非公式ながらS.H.I.E.L.D.(シールド)にスカウトされたとか…』

「瑞姫、もういい」

『だって怖くない!?
まずは暗殺者に求められるターゲットに密かに近づいて瞬時に仕留めるための素早さを、いきなり崖から飛び降りて10秒で目標の場所まで行くとか!! 普通は1分ぐらいかかる場所をだよ!?
暗殺ケイドロだって、いきなり背後に現れるんだよ!? え、なに!? 殺し屋なの!!?
人間と戦うと絶対笑顔になるとかなに!? 犬を怯えさせる笑顔って何!!?』

「おーい、瑞姫ー」

ゼェハァと息をしていると「白樺さん」と烏間さんに呼ばれた
振り返ると、「しばらく俺もアメリカにいることにした」と言われた

『…人類最強決定戦するんですか？』

「何を言ってるんだ？」

日本で終えた最強戦またここでするの？っていうか烏間さんが全部やったらいいじゃん
もうそれぐらいやってもいいと思うんだよね。絶対終わるよ、明日くらいに

『それはいいけど、ホテル住まい？』

「あぁ」

『ビッチ先生は？一緒じゃないの？』

「イリーナは別件だ」

『ふーん…。ねえ、烏間さん』

「？」

『あのね』

ごにょごにょと耳打ちをすると「それは構わないが…できるのか？」と言われた
『うーん』と唸って答えると「だがキミならきっと大丈夫だろう」とくしゃりと頭を撫でられた

『その時はよろしくお願いします』

「あぁ」

「瑞姫、何頼んだんだ？」

『…ふふーん、内緒！』

ーアッシュの日本行きの航空券とパスポート用意できますか？ー