大王女様と山猫小僧7 (ページ2)

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ロングアイランド行きが中止になった今、市立図書館にいた
バナナフィッシュについて調べたいと言ったアッシュの手伝いのために、メモに書かれた本を持ってヨタヨタしながら進んでいく

『いや、重すぎるって』

アッシュの隣に本を置くと、「ありがとう、オネエチャン」とからかった笑顔を向けられる
このやろう…と思っていると、またあの刺すような殺気を向けられてパッと振り返るも気配は消えていた

「瑞姫、お前まさか…」

「あー、重い！」

『あ、オックン』

別の本を持って戻ってきたオックンが、机の上にどさりと置いて項垂れた

「まさか今日中に読もうってんじゃないだろうな」

「そのつもりさ」

「冗談だろ!? 夜が明けちまうよ！」

「退屈なら小遣いやるから、マンガでも買ってくれば？」

『年下に小遣いもらうのってどうなの…』

小馬鹿にしたような言い方にオックンはムッとして「ああ、ついでにホットドッグ買ってこようっと！」とお金をひったくった

「あ、俺も頼むよ。マスタードたっぷりね、オニイチャン」

「べーっ」

『私も買ってこよーっと！ついでに電話してこよっと』

オックンの後を追いかけてホットドッグを買うフリをして外に出てスマホを取り出した
烏間さんの電話番号をタップし、ホットドッグを買いに行ったオックンを眺めているとアッシュも一緒になって出てきた

《もしもし》

『あ、烏間さん。あの、ちょっと気になることがあって』

《？》

『3年前に殺せんせーの命を狙ってた殺し屋で、腕の立つ殺し屋の人って、覚えてますか？』

《あぁ》

『あの、その人たちのことって教えてもらえますか？』

《何かあったのか？》

『視線を感じるんです…それと、得体の知れない殺意を』

《わかった。すぐに送る》

『ありがとうございます』

電話を切って言い訳になるように自販機で水を買って戻ると、「どこ行ってたんだよ」とアッシュがマスタードたっぷりのホットドッグにかじりついていた

『水買ってきた。オックン、飲む？』

「うん、もらうよ」

涙目で水を飲んでいるオックンよりも、また感じた気配に顔をあげて見回す
3年前、あの1年間で感じたことのある気配…いったい誰だろうか…腕の立つ殺し屋だというのはわかるけど