大王女様と山猫小僧6 (ページ7)

今日:5 hit、昨日:6 hit、合計:8,852 hit

44-4 ページ7

『私にだって才能が欲しいよ…
私はアッシュの気持ちがわからない、アッシュは…私の気持ちがわかる？』

「…………」

『わからないのは当たり前だよ。才能が欲しいと思ったことが一度もないなんて、言わないでよ…
才能がない人間にとってその言葉は本当に…息が詰まりそうなんだよ…』

『おやすみ』とだけ言って自分の部屋に戻った
ベッドに倒れ込み、体を丸めてそのまま目を閉じる

あーあ、八つ当たりしちゃったや

ー翌朝ー

『(ﾎﾞｰｯ』

朝から筋トレとジムに行って休憩をしてクッションを抱きながらソファに座る
オックンは思い詰めた表情でいるし、アッシュはいないしでこっちもてんてこまい

その時、インターフォンが鳴り、オックンがハッとしてパタパタと駆けていく
アッシュだったらインターフォン鳴らさないよね〜なんてことを思いながらソファにさらに深く沈み込んだ

『謝んないとな〜』

私の八つ当たりでアッシュを怒らせたのは当たり前だし、アッシュは悪くない。ただ嫉妬しただけだし…でも、あの射撃の腕があればもっと暗殺でみんなの手助けできたのになぁ、なんて思ってしまう

「白樺さん、図書館に行ってみないかい？」

『図書館？』

「うん。アッシュ、そこにいるかもしれないって」

『ふーん、勤勉家だね。うん、行こう。昨日のこと謝りたいもん』

上着を引っ掴んでオックンとボーンズ、コングと一緒に市立図書館まで来た
エントランスホールを見回していると、「白樺さん、こっち」と言う

「ボスは1人になりたい時は、よくここに来るのさ」

「でも、よした方がいいと思うぜ。お勉強の邪魔するとさ」

『大丈夫』

「でも行くよ。幸運を祈ってて」

階段を登り、リーディングルームを見回すと、窓際に座って本を読んでいるアッシュがいた
その背中はどこか孤独で、それでいて綺麗だった

オックンが一歩踏み出したのを見て、私は出遅れたことにちょっとため息を吐いた
ふと周りを見回すと、法律のことや医療のことがまとめて置かれている堅苦しいコーナーが見えた

無意識にそちらに足を向けていき、無意識に本を手に取ってページをめくりそのまま読み込んだ

アッシュside

「やあ、気づいてたんだろ？知らないふりなんかするなって」

向かいの椅子をひいて小声で話しかけてきた英二に「ふん」とそっぽを向いた