大王女様と山猫小僧6 (ページ36)

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「(ﾊｯ！」

起き上がって周りを見回すとマックスが運転している救急車の中だった
瑞姫はもちろんここにはいない

「大丈夫か？」

「…悪い」

「無理するなよ」

「ここは？」

「もうセントラルパークだよ」

「どのくらい寝てた？」

「30分かそこらだ」

ほっと息を吐いた俺は、背もたれにもたれると「博士を安全な場所に隠そうと思ってな。ロングアイランドにジョージの親父さんが持ってるサマーハウスがあるんだ」とマックスがドースン博士を隠す場所を教えてくれた

「じゃあ、住所を教えといてくれ」

「え、住所って…一緒に行かないのか？」

「俺はやることがある。停めてくれ」

路肩に止めたマックスは、「英二と瑞姫を探しに行く気か？」と俺に聞いてきたのに俺は小さく頷いて返した

「気持ちはわかるが、お前は疲弊しきってる。お前の体は休養を取る必要があるんだ」

「わかってる。でもダメなんだ
あいつらが無事でいないと、俺はダメなんだ」

俺から別れを切り出しておいて、危険から遠ざけておいてまた引き摺り込もうとしてる
自分勝手な俺にきっと瑞姫は怒るだろう…だけど、俺にとってあいつは…

「そうか…もう何も言わんよ」

「服貸せよ」

「…なんで？」

「この格好で歩けってのか？」

「いーじゃないか、モテるぞ、きっと」

からかってきたマックスに銃を向けると「冗談だってば」と言って自分の服を脱ぎ始めた

「なんだよこのズボンは！こんなのよくはけたな！」

「嫌ならスカートはいてけ！」

ぶかぶかのズボンをベルトで1番最後まで締めて、Tシャツの上からダブダブの白衣を羽織った
車から降りて横断歩道を歩いて行くと「あてはあるのか？」と聞かれて俺はゆっくりと振り返った

「この街は俺の庭だぜ」

それだけ言って、俺は夜の街に足を踏み入れた

瑞姫side

『ふぇっくし!!! あ"ーー…鼻ズビズビじゃん…』

「白樺さん、風邪？」

『ゔん…この時期は鼻がひどくってさ…明日は咳がひどくなる』

「熱は出るの？」

『ううん、鼻水と咳の交互のダブルパンチで最終日は必ずと言っていいほどしゃべれないぐらいの咳と鼻水に苛まれる』

「重症だね…」

アッシュ・リンクスの死亡報道
私はと言うと、ホテルでオックンにシンたちのことを聞いていた