大王女様と山猫小僧6 (ページ31)

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48話報道の時間ページ31

『暇だし、バレーの中継やってないかな』

そんな都合よくバレー中継してるわけないか…なんて思いながらテレビをつけた
暇だしね、なにもないしね、ボールぐらいくれてもいいと思う

《対立するストリート・ギャングのリーダー同士の抗争で逮捕されたアッシュ・リンクス18歳は、重傷を負って市内の病院に収容されていましたが、本日未明、移送先の国立精神衛生センターで死亡しました》

ｺﾞﾄﾝｯ

『…は？』

目の前にニュースが流れてきて、アッシュの顔写真が映し出されてしかも死亡したという報道に私は全身の血の気が引いた

アッシュが、死んだ？

『…………………』

ｶﾞｼｬﾝ！

窓ガラスを叩き割り、床に散らばったガラス片を手に取り気配を消して扉の影に隠れると、なだれ込んできた月龍が部屋の中に入ってきた

足音を立てずに気配を消してゆっくりと背後に周り、『動くな』と静かに言うと月龍は私を見て驚いていた

『動いたらあんたの首、掻っ切る』

グッと握ると、血が流れていく

「血が出てるよ。キミに血を流させたなんてアッシュに知られたら、僕はきっと」

『いいから黙ってオックンここに連れてきて』

部屋に入ってきた使用人に『近づいたらこいつの首切るよ』と殺意を剥き出しに吐き捨てると、男たちはその場に立ちどまった

『オックンを連れてきて。それから銃を床に置いて部屋から出て』

「言われた通りにしろ」

『私も人殺しはしたくない…だからお願い、言うこと聞いて』

使用人たちがオックンを連れてくると、オックンに銃を拾わせて私の後ろに下がらせる
ガラス片を放り、銃を手に取っていつでもトリガーを引けるように安全バーを指にかけた

『オックン、絶対離れないでね』

「う、うん…」

月龍を人質にしてエレベーターのボタンを押して待っていると「心配するな」という中国語が聞こえてきた

「…僕に考えがある」

「なんて言ったんだ！」

「手を出すなと伝えただけだ」

『…………ふーん、考えねぇ？』

「!?」

『中国語が話せないと思った？通じるのオックンだけだから』

中国語で返してやると、月龍は目を見開いて固まっていた
ビッチ先生や健ちゃんから外国語は一通り話せるようになれと言われてた

バレーでどの国に行くかわかないからね